幾重にも重なった
薄氷(うすらひ)のような心の隙間
いろんな物が重なる
誰かを愛したこと
自分を責めたこと
空を仰いで
心を飛ばせたこと
遠くつながる空の向こうの
誰かに愛を歌ったこと
雨に濡れた日も
お腹が痛くなるほど笑う日も
満天の星の日も
携帯の呼び出し音のオルゴール
夜中に叩き続けるキー
ヘッドフォンから流れる
ピアノの音
君の声
カップが机に降り立つ音
朝の空気
夜の帳
砕ける月
仕事も
子供も
何気ない生活も
すべて
たたんで
たたんで
降り重ねた
幾重もの層の中にちりばめて
甘いだけではない
「千」と言う名を持つ
食べ物に仕上げよう
甘い部分も
ほろ苦い部分も
甘ずっぱい場所も
いろんな香りも
すべてが折り重なって
1000の顔も
ひとりの
私