072305 ランダム
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七夜式のやりたい放題なブログ

第二話 襲来

モニターが幾つも存在する部屋。そこには、1人の科学者が立っていた。


『・・・バジュラは、無事全機ターゲットへ。これより制圧を開始します』


「いや、制圧はしなくていい。ちょっと脅かすだけだ」


科学者ジェイル・スカリエッティは、通信してきたリボンズ・アルマークにそう告げた。


『了解致しました。ドクター・スカリエッティ。ではいつも通り、バジュラの性能実験でよろしいでしょうか?』


「ああ、構わない。適当に襲って、適当に引き上げてくれればいい」


『わかりました。それでは後ほど』


通信が切れる。スカリエッティはバジュラのいる町をモニターに映し出した。


「ふふふ・・・頑張ってくれたまえ、僕の玩具たち。そして・・・早乙女アルト。私たちの願いは君に委ねられているのだから。」




                    第二話 襲来


新暦0071年。時空世界『ミッドチルダ』は、未だかつてない恐怖の色に染まっていた。



町は火で覆われた。幾つもの建物が倒壊する。


「おいアルト!!逃げるぞ!!」


「いや、管理局の人間も統合軍の人間も居ない今、誰かが避難の手助けをしなくちゃいけない」


「でもアルト、お前がやられちまうかもしれないんだぞ!」


「大丈夫だ、そんなヘマはしない。それに、管理局か統合軍が来たら逃げてくる。だから大丈夫だ」


「・・・解った。死ぬなよ!アルト!!」


そういって早乙女アルトのクラスメイト達はその場を後にした。


「・・・行くか」


アルトはバリアジャケットを展開させた。見た目は一昔前の西洋の騎士の様な鎧。


指先から肘下までを覆う篭手。


腰鎧は胴鎧に繋がって腰の両脇。脚鎧は爪先から膝まで。黒い外套が覆い隠している。


背中には愛剣「バスターソード」を携えている。


アルトは『跳んだ』。跳躍距離は約100m。


一気に赤い虫に肉薄する。そしてそのまま剣を抜き、赤い虫目掛けて横に薙ぐ。


「くたばれっ!!!」


虫が綺麗に二つに切られる。次々にアルトは虫を斬る。


・・・何体倒したかすら解らない。だが、幾つも出てくる。キリが無い。


その時、後ろから何かが来るのが気配でわかった。


「・・・!!」


避けられない。死を覚悟した、刹那。緑色の光が虫を貫いた。


「・・・あれは・・・何だ?」


光が飛んできた方向を見る。そこには、背中から緑色の粒子を放出させ、アーマードを装備する魔導師。


(・・・GNドライヴ?完成して正式採用になったのか?)


GNドライヴ。それは、身体の内から生成される『魔力』と『気』の反応融合を起こし、魔導エネルギーを増幅させる装置だ。その時に緑色の粒子が放出される。


アルトはそれを本で見たのを憶えていた。


「貴様!!何やってる!!死にたくなければ下がってろ素人が!!」


男の声。20代位だろうか。男はアルトを怒鳴りつけた。


「何だよ!!こっちだって好きでこんな事やってるんじゃない!!それに、俺は素人じゃない!!武器だって」


「じゃあさっきの襲撃の対応はどうなんだ?」


「ぐっ・・・」


反論出来なかった。確かに、この男が助けてくれない限りアルトは死んでいただろう。


「・・・言い訳はしない。でも、このまま黙って街が壊されるのは見てられない。だから、戦わせてくれ」


アルトは必死だった。このままだと学校が、住むところが、仲間との憩いの場が無くなってしまうのだ。
                      

―――市街地


GNドライヴとアーマードパックを纏う男、遠坂錬は悩んだ。


確かに、自分の居場所を自分で守れない。


それは辛い。


あの少年の様に実力があるなら尚更。


だが、今の様な状況は死に至る。


偶々錬がいなければ、アルトは死んでいただろう。


・・・決め難い。


自分の居場所を護る。


その心意気は買う。


だが、今の様な失敗はいずれ死を招く。


迷った末に出した答えは、こうだった。


                       ◇


「・・・いいだろう。但し、死なないと約束しろ。絶対、何があってもだ」


「・・・了解」


「俺は遠坂錬。お前は?」


「俺は早乙女アルトだ」


「そうか、行くぞ早乙女アルト!!」

2人は虫の群れに飛び込んだ。


錬の戦い方はこうだ。


GNドライヴで増幅させた魔力を腕に込め、虫を殴り倒す。


デバイス手甲。接近戦が得意なのだろう。


魔法は補助だけで、力の増幅に全てを注いでいる。


アルトは呟いた。


こんな魔法の使い方があるのか、と。


やがて、全ての虫を倒し切った時には、錬の姿は何処にも無かった。


アルトは、真紅から徐々に灰色になる街と、蒼い大空をみていた。


                 To Be Continued... 


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