七夜式のやりたい放題なブログ

第七話　英霊

―――スカリエッティの研究室


「―――早乙女アルトが『セイバー』を召還した模様です」


「ほう・・・最強の英霊を引いたか」


「貴方には正体が分かっているのでは？」


「そうだよ。私には判っている。その内判るさ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第七話　英霊


「問おう。貴方が、私のマスターか？」


「・・・マスター・・・だと？」


「貴方の手の甲に着いているその紋章が何よりの証。これより、私は貴方の剣となり、盾となります」


アルトにはさっぱりだった。手の甲を見る。


3つの部位に分かれた剣の模様がある。


「・・・あ、ちょっと待て！！」


銀色の騎士は外へ出た。


「ほう。お前が七人目か。」


「ふっ。戯言は舌を噛むぞ、ランサーのサーヴァント」


「へっ。そういうお前の得物は『剣』か？」


「さあな。槍かも知れんし、斧かも知れぬぞ？」


「ぬかせ！！」


青い騎士が飛び掛ってきた。


少女の武器は見えない。


何かで覆われているかのように。


武器同士がぶつかり合って、火花を散らせる。


青い騎士が飛び退く。


「・・・一応任務は『偵察』だったが、気が変わった。死ね」


槍を構え姿勢を低くする。


槍から禍々しい力が放たれる。


「刺し穿つゲイ―――」


騎士の体が消えた。


「・・・！！？？」


少女が飛び退こうとした。


その時。


「―――死棘の槍ボルク！！」


少女の胸に槍が刺さった。


誰もが、少女は死んだと思っていた。


「・・・」


「・・・何っ！！？？」


だが、生きていた。辛うじて心臓は外したらしい。


「・・・これを喰らって立てるとはな」


「刺し穿つ死棘の槍ゲイ・ボルク・・・まさか、リベールの『番犬』か！？」


「・・・ちっ。これを使う以上『必殺』なんだがな・・・今日の所は引くぜ」


「・・・！！待て、ランサー！！」


「止めとけ。そんな身体じゃ、死しか道はねえ。それに、お前のマスターは聖杯戦争が判ってねえらしいぞ」


「・・・！！」


「じゃあな」


青い騎士は飛び去って行った。


「・・・おい、大丈夫か？」


アルトが少女に近寄った。


少女の姿を見て、驚いた。


傷が・・・無い。


鎧も元通りだ。


「・・・お前」


「私は大丈夫です。マスターはここで待っていて下さい」


「待ってるって・・・おい！！」


少女は家の門へ向かった。俺も後から追いかける。


「・・・！！」


少女が誰かを斬った。


「消えて、アーチャー！！」


影が消える。


「きゃっ！！」


少女に倒されたようだ。月明かりがその方向を照らす。


そこにいたのは、アルトと同い年の赤い髪の少女だった。


「・・・セシリア・ピーリス・・・」


その少女は、名前を知っている人物だった。


「早乙女・・・アルト君？」


「セイバー・・・って言ったか。殺すのはナシだ」


「何故ですかマスター！！この方だって」


「俺は、聖杯戦争のルールを知らない。だから今は剣を引いてくれ」


「・・・貴方のマスターはそう言ってるけど？」


セシリアが立ち上がった。


「・・・」


少女が剣を収めた。・・・様に見えた。


武器が見えないので、判別できないのだ。


「ああ、早乙女君、助けてもらったお礼に、聖杯戦争について教えるわ」


「ピーリス、それは有り難いが、どうして俺の名前を知っている？」


「あら、知らないの？貴方、結構学校中で有名よ。『空戦学科の重剣使いクレイモア』って言われてるわ。貴方はどうして私の名前を？」


「似てるもんだな。お前は『陸戦学科の戦乙女バルキリー』で有名だ」


「努力した甲斐があったってものね。まあ自己紹介も済んだし、貴方の家に入りましょ」


そうして3人はアルト邸に足を踏み入れた。


　　To Be Continued...