第十二話 試練「何?本当かね三島君!?あの虫の正体が解ったと?」ここはミッドチルダ内最大の国であり統合軍の本部がある『エレボニア』。 大統領であるハワード・グラスは、レオン三島からあの赤い虫の正体が掴めたと電話で聞き、驚愕していた。 『はい。今からそちらに迎えに行きますので、暫くお待ちください』 「解った。下で待っているよ」 そう言ってハワードは受話器を置いた。 ―――エレボニア内軍事施設『ダルフィム』 「ふむ。計画は実行に近くなったな」 大統領補佐官レオン三島は呟いた。 「どうします?ここで決行ですか?」 「・・・そうだな。そうしよう。では、私は大統領を迎えに行ってくる」 そうして、レオンはダルフィムを後にした。 第十二話 試練 ―――軍事施設『リベル=アーク』内軍事司令塔『 「おい錬。ここは何処だ?」 「このリベル=アーク最大の軍事施設だ。起動次元エレベーターで本局との行き来も可能だ」 「あら錬中佐。今日は非番では?」 「ああ、ちょっと新人を連れてきた。試験がしたいから・・・そうだな、シードにでも頼むか」 「かしこまりました。今お呼びします」 数分後、錬と同い年の男性士官が来た。 「やあ錬。今日はどんな?」 「ああ、コイツの入隊試験をしたくてな」 「名前は?」 「早乙女アルトだ」 「私はマクシミリアン・シードだ。君は・・・あの2人にそっくりだ」 「あの2人?」 「君は、あのルイード君とマレーネ君の子だろう?」 「そうだけど・・・なんで判った?」 「目の色と性格はルイードにそっくりだ。」 たった数言で性格を見抜いたシードにアルトはたじろいだ。 「そうなのか・・・」 アルトはシードに頭を下げた。 「頼む。俺をテストしてくれ」 「また急だね・・・解った。場所は第一試験場。私は準備があるから、君は錬達と一緒に来てくれ」 そう言ってシードはその場を立ち去り、アルト達は第一試験場に向かった。 ―――第一試験場 「ルールは簡単。10分間私の攻撃を躱し続けるか、一回でも私のバリアジャケットに攻撃を通すか。どちらか片方達成で合格だ」 「判った。せいぜい親父達に追いつく力が出せる様努力するさ」 「承知した。君が勝ったら、君の両親について話そう」 「・・・その話、本当だな?」 「男に二言は無い。さあ、勝負だ」 シードが剣を構える。 アルトは一度深呼吸をして、獲物を構えた。始めの合図は錬となっていた。 「試合・・・開始!」 シードが開始と同時に一気に距離を詰めて来た。速い。 「・・・だが!」 アルトは左へ跳んだ。さっきまでいた場所を剣が空振る。 「我が右手に有りし星の杯よ、天より授かりし輝きをもって我の盾となれ・・・グラールスフィア!」 アルトの身体を一瞬光が包んだ。 「くらいやがれっ!」 アルトがその場から消え、シードの後から矢を放った。 「何!?」 咄嗟にシードが矢を剣で弾く。 「終わりだっ!」 アルトがまた違う方向から矢を放つ。 「甘い!!」 シードの姿が掻き消えた。アルトの背後に現れる。 「喰らえ!!」 「させるか!!」 シードの剣をボウガンに仕込んだ刃で受け止める。弾いた勢いで距離を取り、シード目掛けて矢を放つ。 今度は1本じゃない。数十本の矢が、シードに向かって放たれた。 「・・・せい!!!」 シードは全ての矢をたった一本の剣で落とした。 気が付くと目の前にシードはいない。後ろを振り向くと、シードが剣を構えていた。 「これで終りだ!!」 今度こそ躱せない。誰もが思った。 アルト以外はそう思った。 「こんな所で終われるか!!」 何かが、シードの剣とアルトの間に塞がった。いや、覆っていた、と言うのが賢明だろう。 「・・・さっきのグラールスフィアか!!」 「今度こそっ!!」 アルトが至近距離で矢を放つ。もちろんシードは直撃だ。 「ぐあっ!!!」 シードの体が壁まで吹っ飛ぶ。 「勝者、早乙女アルト」 錬が静かに言った。シードが立ち上がる。 「いや、驚いた。さっきの『グラールスフィア』とは一体?」 「あれは効果範囲内の自分が『味方』だと思った奴を敵の攻撃から一度だけガードする技だ。比較的大技だから乱発は出来ないが」 「そうか・・・一本取られたね。私の負けだ。君は合格だ」 「有難う御座います」 「さて、部隊の方はどうする?」 錬がシードに尋ねた。 「S.M.Sでいいだろ。あそこなら俺もお前もレーヴェもいるし丁度良いだろう」 「S.M.S?あそこは新型装備のテスト機関だろ?」 「残念ながらそれは表面。裏は比較的ハードだ。どうする?ついてこれるか?」 「上等だ。どんなミッションでも請けてみせる」 アルトは、力強くシードを見た。 To Be Continued... |