072298 ランダム
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七夜式のやりたい放題なブログ

第三十四話 不終

第三十四話 不終


―――アルセイユ艦橋


「エースを二人も失ってしまった・・・これは・・・俺の失態だ」


アルセイユの艦橋でルルーシュはみんなに謝罪した。


「お前の作戦ミスじゃない。ミリアルドは友人を討つ事への恐れ、錬は私怨を晴らす為に死んでいった。だから、お前の所為じゃない」


レーヴェがフォローを入れる。


「そうだルルーシュ。ミリアルドだって、きっと君を恨んじゃいない。だって、あの時3機のガンダムを討てたのはミリアルドだけじゃなかったんだから」


スザクも思った事を口にした。


「錬も、私が一緒に行くか止めるかしていれば死ぬことはなかった」


カタパルトデッキには半壊したデュナメスが置いてある。ハロが持って来てくれた物だ。


「・・・ねぇルルーシュ。この戦い、誰を討てば終わるの?」


突然セシリアがルルーシュに尋ねた。


「・・・恐らくレオン三島だろう。奴が作戦の指揮を取っているはずだ」


「なら私が三島を討つわ」


艦橋内がどよめく。


「解っているだろうが、レオン三島という総司令を守る場所だ。防御も並大抵のものでは・・・」


「そんなの解ってる。だから私は、『ミネルヴァ』を使うのよ」


「本気で言っているのか?」


「そうか・・・なら準備しよう。まだ届けてはいない筈だからな」


ルルーシュが整備兵に連絡を入れる。


「あと、ミリアルド用だった『セブンソード』も装備させておいて』


「・・・良いだろう」


こうして作戦会議が始まった。


「先ずは陽動でスザク、カレン率いる部隊を敵前面に。C.C.、シードの部隊は左右から。リーズバイフェのシャドウはこの艦の防衛」


ルルーシュの説明に合わせて後ろの駒が動く。


「セシリアは単機でレオン三島が居る施設を破壊する。事前連絡で別部隊はギリギリの所でで退去させる」


こちらに居た赤いマーカーが一気に移動し、敵本陣に突入した直後本陣のマーカーが消えた。


「以下が大まかな作戦の概要だ。各自、出撃に備えろ」


こうして、作戦は始まった。だが、そう簡単に上手くはいかないのだ・・・


―――アルセイユ、カタパルトデッキ


「ここが正念場だ!!何としてでも耐え抜くのだ!!」


リーズバイフェが叫ぶ。目の前の敵を薙ぎ払う為に。


「・・・」


だが、シャドウのメンバーの誰一人、リーズバイフェの怒号に反応する事は無かった。


「・・・どうしたんだ?お前達」


リーズバイフェが尋ねた。


「・・・貴女はお終いだ」


シャドウのメンバー全員がリーズバイフェに銃を向けた。


「どういうことだ!?」


「私達は元よりレオン三島様に仕える身!!貴方の様な者の下にはもう就くつもりは毛頭無いのだ!!」


叫んだ兵士が銃を撃つ。続いて他のシャドウ兵士も撃った。


兵士が撃った弾は全てとはいかなかったが、8割はリーズバイフェに直撃した。


血にまみれながらリーズバイフェは倒れ込んだ。


「くっ・・・私は、こんな・・・ところ、で・・・」


リーズバイフェの目から、光が・・・失われた。


「よし、進撃だ!!」


―――アルセイユ艦橋


「何!?シャドウ兵士が反乱!!」


ルルーシュは焦った。


「はい、カタパルトデッキを押さえられました!!」


「くっ・・・総員退艦!!」


ルルーシュは退艦命令を出した。


「私、行くわ」


セシリアは言った。


「駄目だ。お前は計画を完遂させねばならない。その窓から出撃しろ!!」


「でも!!」


「行け!!このままでは、決着がつかないまま俺達は死ぬぞ!!」


「・・・っ!」


セシリアは一番手近な窓を割って外へ出た。


「頼むぞ・・・セシリア。・・・私も蜃気楼で戦う!!戦える者はついて来い!!」


―――統合軍中央拠点『アルファジール』、レオン三島


「閣下!正体不明機が、こちらに高速で接近してきます!!」


レーダーを監視していた兵士が叫んだ。


「何!?キラとアスランを下がらせろ!!」


「間に合いません!!」


そして、三島は神と見間違えるほどの者を見た。


―――統合軍中央拠点、セシリア


「こいつさえ、殺せばこの戦いは終わる・・・」


セシリアは静かに息を吐いた。


「・・・ミネルヴァ、ディフェンスモードからディシジョンモードへ」


突如、セシリアを覆っていたミネルヴァが分離し、セシリアの身長を超える長さの長弓が完成した。


当然そんな大きな物引き絞るのはセシリア・・・いや、人間では不可能に近い。


だが、この星には幸い『魔法』というものが当たり前の様に使われている。


(ホント、魔法って便利ね・・・)


「・・・トランザム!!」


セシリアは弓の弦を引く真似をした。同時にミネルヴァの弦も引かれ、弓前方に無数の光が集まった。


「やめろ!!それを撃つな!!」


右からアスランとキラがやってくる。


「遅かったみたいね」


セシリアは口の端を歪めて言った。


「喰らいなさい。裁きの矢ディシジョン・アロー・・・!!」


無数の光り輝く矢が中央施設を貫かんと放たれた。


「これが・・・この戦いで死んでいった者達の怨みよ!!」


そう。この矢に乗せた想いは管理局の為だけでない。


この戦いで死んでいった、全ての生きとし生ける物全ての想いを、『復讐』という矢に乗せて放っているのだ。


―――アルセイユ、ルルーシュ


「くっ・・・内部統制が無茶苦茶だ。これでは全滅だ・・・!!」


すでに機関部は停止。損害率は機械、人員合わせて70%。


「くっ・・・喰らえ!!」


ルルーシュは誰と解らぬ血にまみれながらも拡散構造相転移魔導砲を胸の砲門から発射する。


これだけで結構な兵力が削れる。


(あと・・・少し、か・・・)


彼は決めた。自分の命が尽きるその時まで、戦い続けると。


―――中央拠点、セシリア


「はぁっ・・・はぁっ・・・」


肩で息をするセシリア。


「あ・・・ああっ・・・!!」


絶望に明け暮れるキラとアスラン。


互いに、憎み合っていた。


『総司令官を殺した者』への殺意と


『恋人を殺した者達』への復讐心。


2種類の怨念を抱えた者達の戦いが、ここに始まろうとしていた。


―――スカリエッティ研究室


「さてリボンズ。どうかな?『鍵』の調子は」


スカリエッティはリボンズに尋ねた。


「ええ。大丈夫です。問題無く行けます」


「そうか・・・それでは、行こうか」


―――重力圏内


「くっ・・・痛いな・・・これは、かなり」


『彼女』歩く。傷ついた少年を抱えて。


「ん?これは・・・そうか。ははは」


『彼女』は笑う。


「っははははははははははははははははは!!!まさか『純粋種』だったのか!!私でも気が付かなかったぞ!!」


『彼女』は驚き、笑う。


『彼女』はおもむろに携帯電話を取り出した。


「ああ、私だ。トウコか?そっちにゲートを開きたいんだが・・・何、怪我人を治療して欲しいだけさ。・・・ああ、頼む」


そう言って『彼女』は携帯の電源を切った。


「さて・・・お別れだ、ボウヤ」


『彼女』は「トウコ」と呼ばれる者の元へ扉を開いた。


  To Be Continued...


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