Laub🍃

2017/04/29(土)22:06

三千分の一(1次ss・独白)

.1次小(176)

地図を見るたびに、人間の存在と言うものの小ささを実感する。  口内炎を意識するたびに、小さなものに支配される人間の無駄な大きさを疎む。  三千分の一。  この地図の三千分の一が私の寝転がった大きさ。  この地図があなたの心だったら、私は何分の一なんだろうか。  私はあなたとどれだけの部分を共有できるんだろうか。  私が笑うことであなたが泣くことはないのは、今までだけということはないだろうか。  より深く付き合わねば、あなたと私の食い違いはないのだろうか。  あなたとの距離の三分の一を詰める。あなたは笑っている。  あなたとの距離の三十分の一を詰める。あなたは笑っている。  あなたとの距離の三百分の一を詰めようとする。けれど踏み出せない。  あなたの笑顔を失うんじゃないかと思って。  けれどわたしが笑う時にあなたが笑っているのは嬉しくても、それでも何か足りないのも事実で。  わたしがされたら泣くようなことをあなたにしたら泣くかもしれない。  そうしたらあなたのいつもと違う顔を見られて、そして私と同じということも分かるけれど、それでもやっぱり寂しい。  ふとした瞬間に私が泣くとしてもあなたが耐えて笑うであろうことを考えると私はあなたがもっと好きになる。あなたと一緒に居られる自分の存在を肯定できる。あなたの為に頑張る自分のことは信じられる。  私の存在自体があなたの三千分の一だとしたら、私の全てはあなたに理解されているということになる。お釈迦様の手の平。それは心地いいかもしれないのだけれど、そうだと信じ込んで、そうでなかったら、と考えると怖い。  私の存在の一部があなたの三千分の一、スパゲッティの唐辛子のようなものになれているとしたら、あなたへの支配欲みたいなものが、あなたに影響を与えていると言う少し歪んだ気持ちが浮かんでくる。  あなたの全てを知りたいけれど、同時にミステリアスで居てとも思う。  あなたを理解できないのはそれはそれで素敵だけれど、あなたに突然突き放されたら何もできなくなってしまう。  あなたの心のあなたの時間の三千分の一だけでも、私に分けてほしい。  あなたに嫌われない私なら頑張れるから。  あなたに勇気をもらえれば、今日も歩いていけるから。  三千里のはじめの一歩だけ、あなたの足を貸してください。 最終更新日 2015年06月21日 22時28分35秒

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