2017/01/15(日)17:10
コ●ン「妙だな…」/懐疑本能と信頼/外れたみんなの頭のネジ雑感想/あなたのナットをねほりんぱほりん
探偵なみの好奇心、探偵なみの歩けば事件に遭遇する率を持った主人公の話・
外れたみんなの頭のネジ。
単なるマチナカ人間狂気探求漫画かと思ったら主人公が自分自身まで疑い出す漫画でした。
※1話
「自分は狂っていないのか?」
ディストピアを改革する側がそれを考え出したら、おしまいです。
狂っていないと証明するか、世界の側を自分の都合に合わせるか、歩くのを止めるまで心の中はぐるぐる状態です。
***
「人間のようなもの」の広告で恐らく有名かと思います。
「飼っている『人間のようなもの』を探しています」というちらし、
「ずっと閉じ込められてて やっと逃げ出せたんだ」という「人間のようなもの」の言葉。
あなたはどちらを信じますか?
***
主人公のミサキは、この後ある人を「信じた」ことを後悔します。
そして、初期の突っ込み役から、全てに対し疑いを抱くようになっていきます。
銀魂の新八、ボーボボのビュティ並みの突っ込み濃度です。コナン並の探求度と道を歩けば事件に当たる状態です。
そして突っ込み・放っておけないがゆえに探索を始めます。蜂の巣を突くようなことをします。探求の結果、「なあなあ」で済ませていれば普通の友達のままだったような相手のうち一人は狂い、一人は入院することになります。
欝系RPGにもたまにありますね。「主人公が放っておけば一応平和だったのに」というやつ。
そして彼女は疑うゆえに、知りたいがゆえに、いささか非常識な行動(不法侵入など)までし始めます。
「ほっといてやれよ…」
感想サイトにもそういった言葉がちらほら。
けれど彼女は止められません。「妙だな…」をやめられません。
「知りたくて知りたくて知りたくてたまらない」のです。
「空が灰色だから」2巻画像お借りしました
それは彼女が「お前のほうが狂ってきているんじゃないか?」と言われたり、
「ミサキは何かを忘れている」ことに気付いたり、
そういった突っ込み役、探偵役としての足元ががらがら崩れていくごとにどんどんどんどん強くなっていきます。
知ることが最早アイデンティティになっていってしまいます。
思い出して狂ったとしても、それはそれでいい。
とにかく知りたいのだ。
怪談を追い求める怪談としての、彼・彼女らのように。(実際は怪談を語る怪談、に近いですが)
何かのオタクなら、巡回屋・追っかけ屋なら、一度は思ったことがあるでしょう。
「他のことはいいから、とにかくその先を見たい」「倍プッシュだ」「いいから●●だ!」
例えそれが偏執狂だのストーカーだの言われても、とめられないのです。
バイタリティの化けものみたいになる。
そしてねほりんぱほりんのように、「どこかの世界の常識」を掘り出すような話では、
深淵を覗く者はまた深淵に覗かれているというように、
「自分は常に安全圏」にいなければ、心をそっちにもっていかれる危険性があります。
そしてこの話の主人公ミサキは、相方に対し「世界のほうが狂っている」と証明するために、安全圏から、常軌を逸した方法さえとりながら、出掛け始めます。
根堀葉堀しなければ、安全でも。忘れたままで居れば、取り敢えずは「正気」でいられるとしても。
それをやめられないのです。
「どちらが信じられるのか、安心できるのか」分からないから。
「どちらを疑えるのか、掘り起こしがいのある何かを見付けられるのか」が気になるから。
彼女は忘れているからまともなのか、思い出すことがまともになる為の道なのか。
忘却が狂気なのか、忘却は正気なのか。
それが、読者としても知りたくてたまりません。
・・・・あとピンクのお助け悪魔べへりんが超絶可愛いから。かっこいいから。オススメです。
大人として落ち着いてるけどたまにおいおいマジかよって冷や汗かくところとか、「俺が近くにいて良かったな」ってピンチの時助けてくれる所とかなんだかんだ紳士っぽいところとか、大人が子供の面白い話を聞くモードと大人が子供の夢と希望を守るモードとおっさんが少女に絡むアホっぽいモードと全部たまんないから。理想の年上紳士がここにいる。世の中の執事はもっとオッサンくさくなるべきだ。ちなみにブラクロの余計な一言二言言う某疲れ目のいかついオッサンはベタベタだけどそこが好きだったりする。なんつーかあれだよ、オッサンとパワー系の相性と子供を適当にあやしつつ何だかんだ相談には乗ってくれるけどあまりにアレな内容だったらうわーって目をしはじめるクールさがいいよね。
そしてべへりんの場合更にその信じてる・信じてないが分かりやすくなってる。おでこのおめめが信じてるモードだと徐々に開眼していく。信じてるモードだとミサキを手助けしてくれる、願いを叶えるバイタリティがあるだけでなく人情味溢れた様子っぽくなるのに信頼度足りないモードだと目が冷え込む。それに対していちいちみさきがちょっと悔しそうにうぐぐってしてるのめちゃめちゃ可愛いから。読もうぜ。かわいい。信じてるパワーを使ってちょっと不思議な魔法を、奇跡を起こしてくれるべへりん。周囲を疑うことで得られる信頼。そして、信頼を利用することで、失われる信頼。積み上げるまでは長く、崩れる時は一瞬。プリベルの白ちゃん曰くそれが信頼。それを犠牲にしてまでミサキが世界を見通すことは、本当に必要なのか。
…この二人の絆が、最後の最後で何かの役に立つといいなあ。
ある意味打算的な関係なんだけど、だからこそ対等だと思うんだ。だからこそ、声をこれまでお互い届けられてきたんじゃないかと思うんだ。
現在全話無料配信中なので是非おすすめしたいです。
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探究系・好奇心が裏目に出る系で思い浮かぶものといえば、
こっくりさんとか、親指さがしとか、
バベルハイムの商人での魔物との商業のやりとりとか、
「妙だな…」→「勘のいいガキは嫌いだよ」的やりとりとか、
はずねじにも出てきましたがきぐるみの中の人系の話とか、
トレジャーハントとか、墓を暴く王家の紋章系とか、
7種なら試験会場死亡フラグ事件・きのこ封印解放事件とか、
「イノセント」Mobのカメ子さん系とか
某幽霊の館に親友連れて突入するのが趣味の人とか
空灰の気になって気になって気になって仕方がないさんとかを思い出しますが
そういう人たちの中で
1.安全圏なのを確認したい
2.安全圏だからこそ無茶できる
3.安全圏じゃなくていいからスリルを味わいたい
4.俺も怪異の一部になりたい!!!
1・2だったはずが、気付いたら3・4になってるケースが怖いです。
…読んでいる自分でさえも、気付いたらその中に入ってしまいそうで。
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とはいえしばらく学校課題のほうでリサーチを続けなければいけない地獄です…orz
だけど、勉強や調査は多分色々な人たちの「妙だな…」の集まりだと思うので、推理ゲーと思って頑張りたいところです。
受験生・進級かかっている皆さんもうまくいきますように。