2018/05/03(木)17:45
つけこみつけこみうんねんぶん (1次ss)
お母さんが泣いてる時に近付けば、ゆるしてもらえた。
お父さんが「俺の何が分かる」って皆に言ってる時は、普段一緒にいないあたしだけは、傍に居られた。
だから、あたしは誰かが弱っている時が好きだ。
あたしが唯一愛してもらえる時だから。
誰でもいいから傍に居てほしい時。
身近な人ほど弱音を打ち明けられない時。
とにかく何かに文句を言ったり当たり散らしたりしたい時。
あたしは一緒に居てあげた。
それなのに、回復するとあの人達はあたしから離れていく。
曖昧な笑みを浮かべて、もう大丈夫だと言う。
何が大丈夫だ。
あれだけ縋って、皆を罵って、泣いていた癖に。
それでもあたしは引き留められない。
引き留めたら今度はあたしが、その人の泣くきっかけになる。怒るきっかけになる。
そしてその人は別の人に泣きつくのだ。
耐えられない。
唯一のあたしの存在意義さえ、侵犯されてしまう。
そんな夜は死にたくて死にたくてたまらなくなる。
「あっ、もしかして君~?俺、『ラム男』!」
だからあたしは、
「…はい。『ソビ』です」
「言ってたほどブスじゃないじゃ~ん」
「がっつり盛ってるんで」
今日もまた、寂しくて悲しい人の所で夜を過ごす。