カテゴリ:家電
最近、あちこちのメディアで、フィリップスから「ノンフライヤー」という新しい調理家電が発売されるということが、宣伝されている。
日本では代理店を通してシェーバーぐらいしか売っていなかったフィリップスが、全世界で100万台を売り上げた画期的なヒット製品を、4月下旬に満を持して日本市場にも投入するそうだ。 油を使わず揚げものをつくる! フィリップスが日本のキッチン家電に再参入 油を使わずに“揚げ物”ができる「ノンフライヤー」の実力は? - トレンド - 日経トレンディネット 高速空気循環技術により、本体内に熱と空気を対流させることで、油を一切使わずにサクサクで美味しい揚げ物を作ることができる画期的なフライヤーとのこと。 肉や魚、野菜など、調理したい食材を「ノンフライヤー」の中に入れて温度とタイマーの設定をするだけで、手早く簡単に調理することができ、食材の油のみを使って上げるため、従来の揚げ物に比べて最大80%の脂肪分をカットすることができるらしい。 ここまで特徴を聞いて、デジャブ感が・・・これって、シャープの「ヘルシオ」などのスチームオーブンレンジと、できることがほぼ同じじゃないの? 加熱水蒸気を使った加熱手段や、熱の循環構造は違うものの、実現したい調理方法や得られる効果が、非常に似通っているのだ。 しかもノンフライヤーのサイズは、幅28.7×奥行き38.4×高さ31.5cmと決してコンパクトとは言えない。パッと見、旧型のゴパンと同じぐらいか。 日本の場合、これ以外にも、ホームベーカリー、フードプロセッサ、精米機など、調理家電の生存競争は激しい。 新たに、これだけ大きな家電を置ける日本家屋は何%あるだろうか。 それに比べ、スチームオーブンレンジなら、既にある電子レンジの置き換えだから、新たに場所は必要ない。 ノンフライヤーの調理トレイの面積は、ヘルシオに比べ物にならないくらい狭いため、一度に調理できる食材も少ない。ヘルシオの調理例にあるようなサンマの塩焼きは、ノンフライヤーでは、一匹丸ごと調理するのは無理だ。 消費電力も1425Wと記載があり、加熱中、ほぼこの消費電力を使用し続けるとなると、ヘルシオの最上位機の1000W(最大出力)より明らかに大きい。1回で調理できる料も考慮すると、電気は大食らいと言っていいだろう。 一方、海外向けノンフライヤーは200V電源用なので、日本向けの100V対応品だと調理時間は長くなるはずだが、ある記事によれば、それでも余熱に4分、調理は食材によるが10~15分程度とのこと。 これに対し、ヘルシオは、出力自体が小さいし、加熱水蒸気を使うため温度があまり上げられないためか、ノンフライヤーよりは、調理時間が長めになるようだ。 この点ではノンフライヤーが有利だが、これも分量が多い場合は、調理が1回で済むヘルシオが逆転してしまう。 ノンフライヤーは、まだ未発売なので実売価格は不明だが、希望小売価格は29,800円とのこと。 一方、シャープのヘルシオに代表されるスチームオーブンレンジは、当初は高かったものの、最近は対抗メーカーも増えて、ずいぶん安くなった。 トップブランドのヘルシオでも、一番安いものでノンフライヤーより安い2万円台から、ハイエンドでも6万円台で買える。 さらに、国産オーブンレンジは、スチームオーブン以外の機能も色々搭載されている。 トータルで考えると、調理時間に関してはノンフライヤーが勝る部分もあるが、それ以外は、日本の家庭環境では、スチームオーブンレンジに勝ち目はないように思う。 熱と空気で揚げ物を揚げる調理器「Nonfryer(ノンフライヤー) 記者発表会に行ってきました。 | 毎日楽しく 4月の発売前に、あえてここまで否定的な意見を書いたのは、テレビやラジオやブログ(新製品発表会には多数のブロガーも招待されたらしい)などで、やたら画期的商品であるかのように絶賛する番組や記事を立て続けに見聞きして、非常にステマっぽい気持ち悪さを感じたからだ。 まだ一般のブロガーだけならともかく、こうした家電グッズを公平に扱うべきデジモノ専門誌の編集長までが、ヘルシオなどの類似商品(絶対知っているはずなのに)との対比をすることもなく、ラジオで大絶賛するのを聞かされて、腹が立ってきて、反論と言うか、別の見方があることを提示しないと、自分の気が済まなくなった。 ノンフライヤーの宣伝番組を見聞きして、画期的だと思って買おうと思った方、もう一度、冷静にここまで書いたことを読み直して欲しい。 それでも、まだ買う価値があると思った方は、もちろん買うのを止めはしませんが。
にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年03月08日 00時36分50秒
[家電] カテゴリの最新記事
|
|