2003/07/01(火)14:10
アンチテーゼ
阪神タイガースがもう50勝。6月中にこんだけ勝つんはプロ野球始まって以来の快挙やて・・優勝するやろうという期待感と勝っていく爽快感はこのうえなくうれしい事なんですが・・・・・なんかもやもやするモンがあるんです。強い巨人がいてこそ、そこを打ち崩すという楽しみがあるんです。もともと阪神の応援の楽しみのひとつは、お金でモノをいわす大企業球団ジャイアンツに庶民的商店街球団のタイガースが頑張って勝つということやと思うんです。最近は横浜に勝つとなんか気の毒な感じさえします。僕はもともと、大阪の庶民の町に生まれ育った人間です。僕の力の源は、お金持ち上流階級へのアンチテーゼだったのかもしれません。社会が持つ、お金持ち優先の制度、学歴がものを言う主従関係、そんな正論を打ち崩そうとする気持があったからこそ、ここまでこれたんやとも思います。学生時代は矢沢永吉の「成りあがり」を読み、浜田省吾の「マネー」を聞いて育った僕等は、もともとのお金持ちとは違い、一旦お金を持ってしまうと、使い方がわからんと思うんです。というより、上の立場になるまでが一番輝いていると思うんです。僕は大学も中退、それもスポーツ推薦で入った大学なので勉強はまるで出来ず・・・営業マンを経てテレビ業界にバイトから入り、徒弟制度の中たたき上げられた人間です。テレビ局や有名制作会社に新卒で入った高給取りのエリートの人たちには負けたくない、そんな気持があったからこそ安い給料で頑張ってこれたような気がします。今は、テレビ局の出資会社に引き抜かれ、普通に給料をもらい、小さな制作会社からはうらやまれる立場になってしまいました。確かに幸せなのですが、どこかにもやもやとした気持があります。いわば、安心して落ち着いてしまっているかっこ悪さがそういう気持にさせているんやと思います。贅沢ですが、安定すると言う事、人から見下ろされる立場ではなくなると言う事で失ってしまうものもあるんです。負けていると言う事、チャレンジャーであるという喜び、自分にとってむかつくほど強い存在があるということはある意味幸せです。そのときは愚痴も憎まれ口もいえるのですが、文句の言えない立場になるとそれはそれでもの足りなかったりもします。阪神タイガースファンはあまり人からうらやまれる立場になったことは経験ありません。ましてや優勝なんて御無沙汰です。優勝するようなことがあった場合、ジャイアンツファンのように喜び方がわからず、とりあえず道頓堀に飛び込んだりしてしまうんやと思います。阪神ファン、大阪の庶民は、文句言うてるるときが一番「らしい」ですよね・・・・・今は、今度いつあるかわからない快挙に酔っていたいですが・・