南包の風呂敷

2007/10/21(日)10:23

『trai cay(チャイ・コイ)岩井志麻子』

本・読書(479)

少し前に、『猥談』を読んだ。これは、岩井志麻子が野坂昭如、花村萬月、久世光彦を相手にした対談集である。なかで、花村萬月とのそれに、ベトナムの若い男との関係が話されるが、そのことを基にしたらしいのが、この『チャイ・コイ』だ。 好奇心と興味とで、それを読んだ。ポルノといえばポルノ。ポルノ的私小説と思う。いわゆる官能小説とは違う。 官能小説がいかなるものかは定義しづらいが、男の性的欲望を満たすために書かれたものを官能小説といえばいいのか?いくら女流が書いても、官能小説は男のためのものだ。 しかし、この『チャイ・コイ』は、私小説的ポルノと言える。あくまで、作家今井志麻子の世界が描かれており、読者に対してのサービスはない。そこいら辺が官能小説とは一線を画するものである。 「チャイ・コイ」 とは、ベトナム南部の言葉で「果物」のこと。 trai cay チャイ・コイ 岩井志麻子 中央公論新社 2002年5月21日初版印刷         2002年5月31日初版発行

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る