思案。
ある男は考える。自分が何を求めているのか、を。何が本当にしたいのか、を。恐らく、恐らくだが"答え"はある。けれども、それは形が無い。手に入れる術も分からない。伸ばした手は、空を切るだけである。幻も、もう見えない。以前、見えていたものが。今はもう、見えない。見ようとしていないと、誰かが言った。そんなことは。そんなことは無い、と言い掛けて口をつぐむ。そうなのかな。もう、分からんよ。首を振るのが常。そうやって。そうやってるうちに見えなくなったのかも知れない。そうやってるうちに失ってしまったのかも知れない。ある男は考える。自分が何を求めているのか、を。何が本当にしたいのか、を。細やかなプライドとか、意味の無いしがらみとか。そういったもののために得たもの。喪失感。或いはそれに付随する自己嫌悪。反吐を吐く。自分に反吐を。返ってくるって分かり切っているのに。そうやって繰り返した。いつも自分がクズのような男だと、そう気付かされたのは大切な人によって。ある男は考える。自分がクズだから。クズだから手に入らないのか。それとも手に入らないからクズなのか。冷たいものが背中を下りていく。力なくソファに身を投げ、天井と壁とを繋ぐその一点に視線を止める。笑われるだろうけれど。俺が欲しかったのは温もりだけだったんだ。抱き締めたかっただけなんだ。抱き締めて、欲しかっただけなんだ。弱々しく口をついた言葉を 誰にも聞かせることのないよう、ビールで、流し込む。とか、こんなキャラどうよ?