彼の名前はリュウ
名前の由来はこの家の6番目の男だからだそうです。りゅうというのは中国語で6という意味です。
彼は朝ご主人がおはようと勝手口を開けると、こうやって必ずのびをしてあいさつをしてくれます。
彼の勇敢な話!?をしましょう。
彼はもう犬でいうところのよぼよぼのおじいさんです。
足もよたよたしています。
それを見たご主人は「もうおまえも自由にしてやらんとな。」と彼をつないでる鎖をとってやりました。
けれど彼は庭の中を元気よく走り回ることもなくよたよたと自分の小屋の廻りをうろついたりしていました。。
ご主人が散歩に連れ出すと彼もご主人の前をゆっくりと歩きます。年を経ったご主人の歩く速さにちょうどよいくらいの歩みです。
ちょうど近所の犬の家にさしかかった時のことです。その家の犬が気配を感じて吠え出しました。彼は耳をくっとその家の方にむけたかと思うと…、
その後の出来事はご主人も予想もしない事態となってしまったのです…
彼の目はらんらんと輝き、1点を見詰めておりました。その目線の先にはいつも彼の家の前を吠えながら通りすぎていく近所の犬でした。彼は躊躇することもなく足をよたよたさせることもなくダーッとその犬のそばにすばやく駈寄り、その犬の首ねっこにかみついたのでした。もちろん噛みつかれた犬はたまりません。キャインキャインと泣き、彼にくみしたがったのです。彼はまさにどうだーという態勢にはいっていました。「リュウ!」とご主人はあわてて叫び引き離しにかかりました。
家の人も何の騒ぎかと出てきてしまい、ご主人は汗だらだらでひたすら、頭をさげるのでした。
家に帰って、ご主人は「おまえはやっぱり犬畜生なんだなぁ」といい、鎖でリュウをつなぎました。昨年の暮れのことでした。
それからまもなく、リュウは大晦日の夜に永遠にやすらぎの途につきました。彼は満足だったかもしれません。