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1.朝

照りつける太陽の陽射しでティティは目を覚ました。
窓の外はすでに騒がしい。男たちがピラミッド建築工事に向かっているからだ。
いつもは目が覚めるとすぐに起き上がるティティであったが今朝はこの空間を噛み締めるかのようにボーッと横になったままである。天井のシミ、壁の傷・・すべてが愛しく感じる

ティティは今日から王宮へ行く。王女の侍女として。
大商人の一人娘としてティティは産まれた。普通なら王女の侍女とは貴族の娘だけに限定されている。しかし、ティティの父親が神官に金を渡し、半ば強引に決められたのである。父親は大喜びだが、ティティは気がすすまない・・煌びやかな王宮に自分が馴染むことができるのか?王族や貴族の中で自分はやっていけるのか?ましてや国一番の美女と評判のネフェル王女の侍女・・不安で胸が押しつぶされそうだ。でも父親のためにも頑張らなくては・・

「くよくよしても始まらない。行くしかないんだわ。」

パッと気持ちを切り替えることができるのがティティの特技である。

ティティは両親の愛を一身に受けてのびやかに成長した。
決してグラマーでも抜群のプロポーションでもないが、手足は長く、顔は小さく、全体にバランスはとれている。クルクルとよく動く瞳は人を惹き付ける強さも持っている。何よりもティティの存在は周囲をパッと明るくさせる。薔薇の花のような大輪の花ではないが、誰からも愛される野原に可憐に咲く白い花のような少女である。

ふっきれた表情で朝食を食べる娘を、母ネベトが見守る

「・・・ティティ・・」
「もう!母さん!娘の門出にそんな顔しないでよ~」
「だって・・母さん心配で心配で・・」
「なるようになるわよ!もしかすると王子様に見初められちゃうかもよ~?」
「ティティったら・・」

ネベトがやっと笑った。
この子なら本当にうまくやっていけるかもしれない・・
ネベトの心はほんの少し軽くなった





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