親孝行するか
昨夜、ひとり日本酒を呑んでいるとき、ふと祖父・茂のことを思い出しました。同居していたおじいちゃんは、いつも気難しそうな顔をしながら日本酒を毎晩呑んでいました。たまに近所まで一升瓶を買いに行かされたこともあります。数年前、村(自治会)の寄合のとき、長老さんから「君のおじいさんは呑むと陽気な人で、いろんな話を聞かせてもらった」と教えてもらったときは少し意外な感じがしました。家と外では違ったんですね。おじいちゃんには、あの秦の兵馬俑が展示された大阪築城400年まつりに連れて行ってもらったことなどありましたが、一番の思い出は修験道で有名な吉野・大峰山に連れて行ってもらったことです。おじいちゃんはその数年前から私の父に、男の子は大峰山の「西の覗き」へ連れていかねばならないと言っていたのですが、父が面倒くさがって連れていかないことに業を煮やし、私を連れて行ったんです。天川村・洞川で一泊し、早朝から修行に出ました。大峰山の「西の覗き」をご存知でしょうか。「西の覗き」はネットで検索すれば出てきますが、ロープで体を縛り、「親孝行をするか」などと言われながら、崖から突き出されるんです。あまり怖かったという記憶はありませんが、おじいちゃんも一緒によく登ったなあと思います。祖父はその10か月後に永眠しました。そして今朝、偶然にも仕事で天川村へ行ったので、近隣の道の駅で日本酒を買いました。仏前に供えてあげようと思います。