銀の月の孤城

銀の月の孤城

第11話嘆きのアウル

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「・・・コレットに謝りなさい、エリザベート」
「だって、お兄様、コレットはお兄様のオルゴールを」
「でも、エリザベート、コレットを殴ったのは、お前だ。コレットがオルゴールを壊したからといって、暴力に訴えていいわけじゃない」
「お兄様・・・!」
「エリザベート、謝るんだ」                             

「・・・ご無事で何よりです、お父様」
「貴様も相変わらずのようだな、シェリルよ」
「おとうさま?」
レンはかなり驚いた。


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アレンは、コクピット内で、ツインタワーが地上に地球に後数時間で落下することを知った。
・・・・レン様!!



「キラ・ヤマト!!」
アウルが突進する。
「こら、ニーダ、勝手な行動を取るな!!」
「うるせぇ、アイツは、アイツだけは俺が殺さないと!!」



艦内は激しくゆれ、迎えに来たカインも廊下の壁にへばりついていた。おんぶされていた盲目のエリザベートはぎゅっ、とカインにしがみついていた。


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カインは宇宙空間でアロイスにずつきし、蹴り上げると、ロープにしがみついていたエリザベートの元に向かう。
「エリザベート、怖い人はもういないから大丈夫」
「はい、・・・カールスさん」
「行こう、もうすぐ、避難場所につけるよ」
「・・はい!」



「キラ・ヤマトぉぉ!!」
地上に落下しながら、アウルは嘆き、叫んだ。
・・・助けられなかった!




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サーシャをお姫様抱っこした状態でレンはLDに剣を向けられ、邂逅に緊張した。仮面の下で,LDがふっと笑う。
「・・・いい剣術だった、君を私のライバルとして認めよう」
「貴方は・・・、誰なんだ?」

「LDだ・・・LDが、助けに来てくれた」
「・・・・ザフトや地球統合組織が負けたんだ」
「俺たちのために・・・命がけで」







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「・・・おお、久しいな、ルブラン」
「サーシャ先輩・・・・」
「先輩に遭ったんだ、挨拶位したらどうだ?」
「アスタール家に貴方の隊からの申し込みが着ているって、本当ですか?」
「ああ、優秀な人材は多いほうがいいからな」


ミーア・キャンベルのライブの映像をラルクが見ているのをエリアルは見つけた。
「デュランダル議長のラクス様だな」


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「もう、行くのか?」
「はい、艦長」
暗闇の中で、長い髪をシーツに流す艦長をアレンは見ることもなく、素早い手つきで赤い軍服に着替えていく。
「次の任務が迫っているので」
「仕事人間だね、君は。少しは女性と恋愛しようと思わないのか?」
「・・・艦長、自分に恋愛での助成は必要ありません。自分が女性と恋愛するのは全てプラントとアスタール家のためです」



「アレンとセレスティアって兄弟ではないんだろ?」
「フェリクス、・・・お前、ここ撃ち間違えてるよ」
「で、どうなの?」
「ええと、うちの使用人は大体エミヤが通り名として与えられるんだよ」
「じゃあさ、アレンってゲイ?」
「そこ、聞きますか」
「だって、レンにべったりだし、顔はいいし、ナチュラルだろ、元々」
「美形が全部同性愛の気があるとおもえないけど、そんなだったら人類は終わりだろ」



「・・・・・ゲイやレズではないか」
「・・・・・うん」
二人の前でアレンとセレスティアがキスをしていた。



赤茶のアーチを超えて、庭園の奥の奥に、レンは混乱しながら、女王となったマリカのてをひきながら、ついていった。
「・・・本当に姉貴に言わなくていいの?」
「ええ」
「大体、昨日あったばかりなのに」
「あら、私では不満?」
緩やかにマリカは笑う。年上の美しい少女は優しくレンに笑う。
「・・・・そ、そんなわけでは」
「かっわいい。・・・なるほどね、リヴが可愛がるわけだわ」
マリカはつん、とレンの頬をつついた。
「からかわないで下さい」

レンが目を覚ました時、エンジン音が響いていた。医者らしい中年の男性や助手の女性がレンの元に駆け寄る。
「ここは・・・」
「お目覚めですか?ここは、地球統合組織の第11艦隊が所有する戦艦の中です。貴方は地球統合組織のアスラン様に助けられたんですよ」
「・・・・地球統合組織?」



「議長、地球統合組織の本部が,エヴァーナ基地が襲撃され、壊滅しました。エヴァーナにいた非戦闘員や戦闘員は、アドヴァキエル帝国のMS部隊に・・・」
「そんな!!」
「キラ!」



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人工の薔薇だ。整備された、出来損ないの一つもない薔薇園にはかぐわしい香りが漂っていた。青い空と小鳥のさえずり。酷く恐ろしい異世界にいる錯覚にカインは襲われた。
イスの上の包帯で巻かれた身体にはシャツがかかっていた。側には上品な老紳士が執事の服を着ていた。女神のように美しい女性が花に水を注ぎ、知らない少年に元気そうな少女が話していた。
「アンジェと呼んでといったでしょう」
「ならないことはなりません、皇女殿下、友のものを連れ、お帰り下さい」
「わたくしはあなたの許婚です・・・会いたいと貴方はお思いになりませんか」
「その前に私は、貴方の騎士です。お立場をお考え下さい」
「妹様なら、わたくしの家が」
「妹は死にました。公爵である私も家のものもそう受け入れています。そうですね、母上」
にこり、とゆっくりに女性は微笑む。


「ドレイクガンダムが暴走したぞ!!」
シェリルが叫ぶ。
「レン~!!」


指と指をからませた。
「二人だけの秘密よ、レン」
「~~っ」
お茶目で冗談好きで明るくテンションの高い黒髪のロングへあの少女は真剣な表情でそういった。
「秘密のお母様のこの庭園は。私と貴方だけの」


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銃口を向けられる。
「お前など知らん。お前は地球連合の強化人間、ファントムペインだ。そして、皇帝陛下からお前の身柄を我が公爵家が預かっている。お前は餌だ。ミスリルをつる為の」
「~~っ」
「教えろ、ファントムペイン、貴様の名前は何だ」
「何故、俺の記憶に貴様の姿がある」
「知らない・・」
「嘘だ、答えろ」
「知らないよ」
「殺すなら殺せよ、LDにとって僕は駒に過ぎない。ミスリルは誰の前にも膝を折らない」
「解放しろ」




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「レン、貴方、最近、私に隠していない?」
「え・・・」
ぎくりとなる。
「私がいない時に出かけて、・・・何してるの?まさか、悪い友達と遊んでいるんじゃ」
「まさか、そんなわけ」
「嘘をつく時、目をそらすクセは直ってないわね」


ザシャがカインに肩をたたいた。
「・・・何?」
「気の毒に・・・」
「君、ベルツに気に入られたようだね」
「はぁぁ!?」


マリカとソファーで座りながら、リヴの帰りを待っていた。くるくると模様が替わる玩具でレンは遊んでいた。
「姉様、おっそいな。これなら、ラルクとプラントで遊べばよかった」
「・・・・そうね」
マリカは古い本を読んでいた。
「マリカさん?」
「レン」
「何?」
マリカがレンの手を握る。
「私達、お友達よね?」
「はい」
「じゃあ、私の悩み聞いてくれる?」
「わかる範囲なら」
腰をギュっ、と抱きしめられマリカがレンにもたれてきた。
「・・・・・私、女王になりたくない・・・・。あんな男の国なんか」

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「マリカさん、あのこと、やっぱり姉様に話した方が、別に国とか親とか関係ないんだろ」
「あら、私との秘密はイヤかしら?」
「そんなわけでは、隠し事はいけないと思うし」
「リヴね、・・・あの人はまた・・・」
「マリカさん?」
「いいわ」
「は?」
「着て、レン」


「LDとマリー皇女の会談がベルリンで行われるぞ」
「会談?」
シンとアウルは混乱する、破損した艦内でテレビの映像を見る。


「何のつもりだ、ベルツ!!」
え、あれ?
「・・・・こいつは、俺の友人だ。将軍殿に渡すつもりはない」
ロープでぐいっ、と引き寄せられる。
「私は陛下直属の・・・」
「・・・・ジークフリート・フィレス、こいつは我が妹、ヴェータの婚約者だ。つまり、俺の弟となる」
外の時は大体偽名で名乗ったけど、それは便宜上で。相手はすぐに忘れるはずで。
「は!?いつ?」
「今、決めた。ファントムペイン、貴様は俺が所有し、保護する」
「はぁぁ!?君の妹さん、死んでるじゃん!」
ナイフを首に当てられた。
「ベルツ家の主は俺だ。一族の長には従ってもらう」
「いやいや、許可してないから!!従うなら,LDか、女の子の方が!!」
「こいつを家に先に帰せ、俺は仕事をしてから戻る」
「はっ」




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「・・・兄貴」
はきそうになる感覚をレンは必死に抑える。
「・・・・これがナチュラルを殺す新機体?」
「アンジェリア、悪いけど、・・・これは皆には内緒に・・・」
「でも、軍には報告事務が・・・」
「友達を巻き込みたくないんだ、頼むよ」
「・・・・貴方、君」
「頼むよ、友達だろ、俺達。俺たちだけの秘密に」
「わかったわ」
「・・アンジェリア」
「その代わり」



「・・・・貴方が好きです、レン・ナラ・アスタール」
「え?」
「・・・ええと、俺、11歳でマリカさん16歳。・・・・友達じゃないよね?いつもの冗談ですか?」
「本気です、貴方はどう?」
「・・・ええと、まって、え?」
「レン・・・」
「・・・・僕でいいんですか?5年くらい待った方が、本当に今子供だよ?」
「貴方がいいんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・考慮・・・させて、お願いします」
                      


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