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なりぽん@厭離庵

荒涼たるベッド



     荒涼たるベッド


荒涼たるベッドよ
御前こそはこの世で一番の極悪人だ
無意味な眠りに誘い
空虚な時間を蓄積する
或る時は
悶々たる青年を眠れぬ苦痛に招き
また或る時は
重々しい愛の行為に泣く女の涙を吸い込む

このベッドの上で一体何人の青春が
生と死を繰り返しただろう
真っ白なシーツも
本当は黒ずんだ深い汚点で満ちている
一度でも陽の光が射し込んできたことが
あっただろうか

ベッドはまるで一個の生物のように
呼吸を続け
稀薄な空気を更に稀薄にする
否、ひょっとしたら
こいつは一人で光合成なんかを続けて
この部屋の酸素を全部吸い取って
僕を殺してしまうかも知れない

例えそうでなくても、何か別の方法で
例えば毎夜毎夜
ベッドの上で不安の闇の中に居る僕を
もっともっと苛立たせて
発狂するのを待つのも
彼には造作ないことだろう

けれどもどうして僕が
彼を恐れる必要があろう
彼は高々木か鉄でしかない
どんな宗教の力を借りたところで
生物でしかありえない
彼は僕と対等以上でありながら
実は人間でもないのだ



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