なりぽん@厭離庵

2006/01/12(木)20:46

ここまでやるのが大企業の‘事故’責任~松下が国内全世帯にはがきで危険周知を徹底~

松下製造の石油温風機事故について具体的に知らない人でも、 この温風機を回収しようとしている松下のCMは知っているだろう。 事故は一酸化中毒事故で5件発生しており、2人の死亡者を含め10人の被害者がいる。 死亡事故があったにも拘らず、その公表が3ヶ月も遅れるなどの問題もあったし、 点検、修理後にも、再び事故の発生があったりで、 当初の松下の対応は誉められたものではなかった。 しかし、その後‘改心’してからの松下の徹底振りは、私の目には鮮やかだ。 12月の10日~19日の10日間は、すべてのテレビCMをこの製品の回収の告知に切り替えた。 ‘へぇ~、松下ってこんなにCMをやっているんだ’ それほど、激しい頻度だった。 ボーナス商戦真っ盛りのに時期に、商品CMを流せないことで、 売り上げにも相当の影響があるだろうと、報道されていた。 10日間の集中告知の期間が過ぎても、あのCMは続いた。 ナショナルから大切なお知らせとお願いです。(お化けだぞ~~~~) 企業としては神妙なイメージを出したいのだろうが、声のトーンが、 まるで葬儀社がお抱えの司会者みたいだ。 一瞬、吉永小百合風にも聞こえるが、彼女は今は確かシャープだし・・・(-_-;) 樫山文枝風にも聞こえなくないが、結論としては、いわゆる有名人ではないそうだ。 声のトーンも暗すぎるという意見に配慮して微妙に修正したそうだ。 それでも、バラエティー番組の間や、正月に‘あけおめ~’とはしゃいでいる後に、 例のCM(;一_一)が流れると、正直かなりテンションが下がる。 そうなのだ。 年が明けても、主に東日本ではあのCMがスポットで流れている。 ずっと土下座されて、いい加減、頭を上げてくれ、と言った感じだなのだが・・・(-_-) そしたら、今日こんなニュースが飛び込んできた。 事故温風機回収、松下電器が国内全世帯に「はがき」  松下電器産業製の石油温風機による一酸化炭素中毒事故が相次いでいる問題で、同社は、難航している問題機種計15万2000台の回収を進めるため、2月中旬から、全国の全4900万世帯(昨年の国勢調査速報値)と事業所や宿泊施設など1100万か所に、回収への協力を呼びかけるはがきを郵送する。  経済産業省によると、企業が製品回収のため全世帯を対象に郵便物を送るのは極めて異例。  同社によると、はがきには問題の温風機の写真や、同社が24時間体制で問い合わせを受け付けているフリーダイヤル番号(0120・872・773)を印刷する。あて先を特定せずに各戸に郵送できる日本郵政公社のサービスを利用するという。  同社は昨年11月末、経済産業省から製品回収の緊急命令を受けて回収作業に取り組んできたが、所在が確認できたのは約6割の約8万9000台にとどまっている。 ‘ここまでやるか~’と思ったが、よく考えてみると、別の見方もできる。 12月初旬の段階では、15万2千台のうち不明分が9万だったのが、今は6万3千台。 1ヶ月の間、あれだけのCMをして、社員も総出でトレースに当って、掌握したのは2万7千台だ。 製品が1985~92年のものだから、もう使ってないんじゃないの、と思うのだが・・・。 だが、だからと言って、松下としては、簡単に打ち切る訳にはいかないだろう。 そこで、考えたのがこのはがきによるローラー作戦なのではないだろうか。 国勢調査と同じような肌理の細かさで網羅することによって、 一旦告知キャンペーンを終了することができる。 実際、新聞も取っていない、NHKしか見ないぞ、なんて人にリーチできるかもしれない。 それにしても、はがき6000万枚、それなりの割引とかあるかもしれないが、単純計算で言えば、 それだけで30億円と言う事になる。 今までかけた対策費も、100億~200億に上っていると言われている。 企業として死人も出しておいて、責任を果たすには‘当然だ’と言われればそれまでだが、 個人的には、その真摯な姿勢は好ましいと感じている。 だからと言って、個別の製品の購入動機にはならないけどね・・・(^_^.) そういえば、我が家にはデジタルビデオカメラ位しかないな、松下製品。 商品CMの代わりに流した告知CMによって、売り上げが落ち込むと予想されているが、 実際はどうなるのだろうか。 もし、大して変わらなかったら、一番困るのは、 商品CMに関わっている連中だったりして・・・(―_―)!! 昔は、どっか他社が出した製品を後追いするイメージが強く‘マネシタ電器’と揶揄されていたが、 今回のような企業態度は、他の企業もマネする価値があるのではないか。 特に、今回のポイント騒ぎでもまったく企業の体をなしていない某IT企業などは・・・(笑) ところで、今回の松下の真摯な姿勢は、消費者に訴求するだけでなく、 きっと松下の社員にも何らかの良い影響を及ぼすのではないか。 そうやって、企業としての風土とか文化が形成される。

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