なりぽん@厭離庵

2009/04/25(土)11:22

もし新生とあおぞらが合併したら~中長期の定期預金が特例で1年しか保護されないのは預金保険制度の欠陥~

巷では新生銀行とあおぞら銀行の合併の観測がある。 グーグル検索で‘新生’‘あおぞら’と入力すると候補として‘新生 あおぞら 合併’が 第一候補で現れる。 もし新生とあおぞらが合併したらその預金はどうなるか。 預金保険機構の説明ではこう書いてある(Q11)。 金融機関が合併又は事業の全部を譲渡した場合の保険金額の特例について説明してください。 1.  金融機関が合併又は事業の全部を譲り受ける場合(以下「合併等」といいます)には、その後1年間に限り、預金保険によって保護される預金限度額は、全額保護される預金を除き、預金者1人当たり元本1,000万円に合併等に関わった金融機関の数を乗じた金額とその利息等とする特例があります。元本の計算については、合併等の前に預けられたものであるかは問いません。  例えば、2行合併の場合は元本2,000万円までとその利息等、1行が2行の事業の全部を譲り受けた場合は元本3,000万円までとその利息等が保護されます。   なお、1年以内に複数回の合併等を行っている場合は、その最後の合併等に関わった金融機関の数で計算します。 2.  1つの金融機関が複数の金融機関に事業譲渡された場合はこの特例は適用されません。 3.  この措置は、「金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法」(組織再編成特措法)に基づく当分の間の特例です。 もし新生とあおぞらが合併の時は合併時に預金は合算されるが、 合併後1年間に限り特例により2000万とその利息が保護対象になる。 特例とあるように合併時点でひとつの銀行になるのだから、 本来1000万しか保護しないところを1年間は‘執行猶予’してあげると言った感じだ。 しかしここで或る問題が生じる。 1年という期間だ。 流動性預金は問題無いし、定期預金も1年物ならば確実にこの執行猶予期間に 満期がくるから対処できる。 対処できると言う意味は合併して生まれる銀行(例として再生曇り空銀行?)に対しての預金額を 預金保険の限度額の範囲内にコントロールできると言うことだ。 但し中長期の定期預金はそうはいかない。 1年の執行猶予期間後にしか両行の満期が到来しないケースがあるからだ。 世の中で円定期預金といえば1年物が主力なのは間違いない。 夏や冬のボーナスキャンペーンで利率を競うのは基本的には1年物だ。 3年より長い期間に積極的なのは、このブログの最大の人気記事である日本振興銀行、 他にはオリックス信託あたりに限定されていた。 ところがこの夏以来新たに新生とあおぞらが極めて積極的に参加し始めたのだ。 新生は3年、4年、5年では飽き足らず10年物まで始めた。 あおぞらは以前は金利が低過ぎて目にも止まらない存在であったが、 夏以降それなりにやる気を見せ始め新生の後を追っている。 両行の預金金利は10月の日銀の利下げにも負けず‘逆行高’となった。 高い金利を払い、期間の長い預金に軸足を移す。 まさに両行の窮状を物語っていると言っていいだろう。 そんな連中に金を貸す気はしないが預金ならできる。 預金保険があるからだ。 景況感から言っても当面低金利が続きそうだから中長期で預けたくなる地合いだ。 しかしここで例の問題が発生する。 例えば新生に5年物を預けた人があおぞらにも5年物を預けたとしよう。 話を簡単にするためにどちらも元本は1000万と仮定する。 そして両行が2009年9月に合併して‘再生曇り空銀行’が生まれたとしよう。 預金額は2000万になるが2010年9月までは保護される。 しかしそれ以降約3年は保護されるのは1000万だけだ。 新生とあおぞらの場合、単に合併しても‘弱者連合’になるだけだから、 当然公的資金で資本注入されて、一旦は健全化されるだろう。 しかしだからと言って、その後も健全性が維持されるかは全くの未知数。 銀行名が‘再生曇り空’だもんね・・・(-_-;) 3年間ペイオフの上限を1000万オーバーしながら安閑としていられるとは到底思えない。 結局安全策を取るなら当初預けた預金を中途解約して残高を1000万に減額することになる。 中途解約利率は勿論定期の約定金利に比べて低い。 新生はまだましな方だがあおぞらは普通預金利率が適用される。 その受け取り利息の差額分その他の不利益は預金者が被るのだ。 これが腑に落ちないのである。 元来は1行1000万で満期まで保護される筈の預金が、預金者が予想し得ない要因である ‘合併’によって面倒なことに巻き込まれる。 どうせなら2行とも破綻してくれた方がスッキリする・・・(>_

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