大森の家
大森の家の現場が始まる.住宅密集地に建つ二世帯のための住宅.住宅密集地では景色を取り込むなど外に頼った空間のつくり方が出来ないため、吹抜けやスキップフロアーなどによる内部空間の魅力づけがほしいところ.だが、二世帯分の要求された各部屋を確保するためには、敷地の許容床面積最大で出来る限りの床が必要となり、また、斜線による高さ制限もあり、それらは難しい.そこで、南側に設けた2世帯分の階段室を吹抜けに見立てて、内部空間を魅力的にしている.床は最大限面積を確保できるように効率的に3層設け、階段は積層させ面積効率で無駄のない配置とし、最大の床面積が確保できるようなプランが導き出された.階段室に設けた南側のランダムな開口が特徴のある外観となっている.各部屋からは階段を通してこの南側の開口を見ることになるのだが、この開口は、各部屋の位置、高さとはずれるように階段に合せて配置しているため、部屋の向こうに窓がある「向こうの窓」の効果が内部に奥行きと風景をつくり出している.この「ずれ」が外観のランダムな表情となっているのである.