2016/09/20(火)09:15
「冷血」上・下
高村薫の「冷血」上下読めました。
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上の後半部分では犯人は逮捕されてしまうので、
多くが取り調べ中のやりとりという、ちょっと変わったタイプの小説になるのかも。
合田刑事の苦労、苦悩が割とわかりやすく書かれてるなあと思った。
どんだけ丁寧に聞いていっても、時間をかけても動機や理由、気持ちというのが
理解できるようにはわからない・・・本人もわかってないし。
わからないものはわからないと調書に記載しようという方針というのが
珍しいというのも、なんとなく知ってる話だなとは思った^^;
被害にあった一家4人、犯人の一人の病死、そしてもう一人はおそらく死刑判決が待つだろう
という死と生のつなぎ目、リアル感みたいなものは、私も、
やはり普段の生活、ずっと生きてきた自分の人生の中では感じてないんだ、
薄いものなんだなと思った。
合田も、警察の取り調べが終わって、起訴されて裁判の準備に入って
自分の手元から離れたら、あんなに考えてたのに遠くになってしまって
忘れてた・・・ということが書いてあった。
こういうお仕事をされてる方は、忘れないとやっていけないとは思うけど、
今までの合田シリーズ(っていういい方は変だけど^^;)では
こんなふうには書かれてなかったような気もする。私が忘れただけかもしれないけど。
そして、この小説の合田の見どころは、拘置所にいたり病院に入院している被疑者
あるいは被告人のところに面会に行ったり、はがきのやりとりをしているところ。
ないんだろうけどね、ほんとは、こんなこと。
こんなことを主人公(かな、一応)にさせるというのは、高村薫らしいような気がする。
単なる事件もの、警察ものじゃなく、社会や人生のきわどさを感じさせ、
死刑制度について高村さんは反対されてたと思うけれども、
その点についてもなぜ反対されるのかがわかった(と思う)。
そのあたりがかなり書かれていた。
で、合田さん。
湖北に義兄とやっと行けました。事件のあった年はいけなかったけど、翌年。
そして、文中にも「無駄に教養のある上司」という言葉が出てくるけど、
通勤電車では文庫本を持ち、被告人に差し入れた自前の本もさすがのラインナップ。
だけど、とふと思います。
無駄な教養があるおかげで、合田さんはあの組織の中で生きながらえたんじゃないかなと。
合田さんって、どこから出てきたっけ。
「照柿」「マークスの山」はそうよね。その前はどうだったかな。
ちょっと忘れましたが 合田さんも年をとってきたのよね。
お疲れ様ですとお声がけ、したい^^;