職場風景---取材
私が派遣で勤めている日本女子大学というところは、未経験のことをさせてくれる。文京区というところはまだ残っている伝統工芸の多い町なのだが、今日は代々浮世絵の刷り師であるお宅へ、ネットで配信する番組の為に取材に行った。番組っていってもテレビ番組のようなものとはすこしちがうけど。…番組など作ったことはない。伝統工芸を紹介する番組の構成と動画及び静止画の撮影とデザイン及び編集を私がすることになってしまい、今日は一気に撮影作業をしてきた。途中、ご近所の世間話の声が入ったり、車の音が入ったり。撮影も初めてだし編集で使うプレミアというソフトもまったく触ったことがない。できるのでしょうかね、まったく。恋わずらい(^^;)のためにそれどころではない私なのに。でもそんな仕事に熱中することで、仕事をしている間は好きな人のことを忘れられたからよかった。伝統というものを伝えようとする人達がいる。それは便利さと快適さを追求することとは逆行することだ。文京区の路地の中にあるお宅には、エアコンをつけない。うちわとすだれと風鈴と緑の植物で涼をとる。坂口安吾の『堕落論』を好んで読んだ私には、伝統というものを尊重する気持ちは薄い。どうでもいいと思う。たとえば中世の町がいまだに現存するヨーロッパより、古いものがどんどんなくなって雑然としていく日本の風景が私は好きだ。お寺や神社が好きだけれど、一方で、それを古いからというだけでむやみに尊重する気持ちをうざいと感じている。伝統なんて過去へのこだわりにしか過ぎないのじゃないのか。そんな気分の私が、伝統工芸の番組なんか作っている。その中で、私は伝統工芸のすばらしさを強調するだろう。世の中ってそんなものなのかな。今日取材させていただいた先生、とても素敵な方で、私はファンになったので、その先生の為に素敵に作りたいと思う。高橋工房伝統を尊重する思想をとりはらった技そのものというものはやはり素敵だと思う。