アメリカの旅---2
ハーバードの街で育ったというMくんは、街を歩いている間、落ち着かない様子だった。「育った頃はちいさかったから、全く覚えていないんだけど、何かを感じるんですよね」とMくんは言った。「その気持ちわかるよ~。私も、うまれた町のこと全然覚えていないけど、その町に行くと、なんかかんじるもの」と私は言った。Mくんは、私の方を見て、またハーバード街をそわそわと歩いていく。クッキーか何かの甘い匂いがどこからかして「あ。この匂い、なんかなつかしいかも」とMくんはうれしそうに言う。いつもおかしな事ばかり言ってふざけているMくんだが、それとはまた別の、ハイテンションだ。旅の準備のためのミーティングの自己紹介で、「僕の好きなことは、見えない場所にあるほくろや傷跡ややけどの痕を舐めることです」と言ったMくんに少々びびっていた私は、このような一面をみて、すこし人見知りがおさまってくるのを感じた。ハーバード街の土産物屋で、「Harvard」という文字が模様になったトランクスをお土産に買ってしまった。後で後悔した。Mくんが、「ぼく、下着マニアなんですよ~」と話しかけてきた。「ふうん、そうなんだ」と私は言った。今思えば、「どんな下着が好きなの」等、きけばよかったと思う。ハーバードに行った後、ボストン市街を観光。先生と、助手Kさんを先頭に、ボストンの町を13人の東洋人が二列縦列となって練り歩く。ホロコーストメモリアルというガラスの記念碑がボストン市街にある。ナチのホロコーストにあった人の氏名が、ガラスに刻んであるのだ。ここで先生がホロコーストについての演説をぶつ。人見知りに悩みながら、上の空で聴いていた。