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カテゴリ:文章のスケッチ
帰り道は駅まで続く一本道で、歩道はすれ違う時に一方が脇によけなければならないくらい狭い。
寒いから急ぎ足で歩いていた。私の後ろには二人の男の子が歩いている。抜かしていけばいいのに、と私はせかされるような気持ちで歩いていた。甲高い声の男の子たちの会話が聞こえてきた。 「俺、小学校低学年のころ、小さくて弱くて、いじめられてたんだ、でも空手ならうようになってからさ、強くなって、いじめられなくなった」 「俺も、低学年のころ、今もまあデブだけどもっとデブで、いじめられてたんだ、でもケンカ強いってことがわかって、いじめられなくなった」 (ふうん)なにかが自分の中でうずく。 二人は、早歩きだからなのか息切れて興奮したような声で、息を継ぐ間もなく話し合っていた。子供時代に言葉がみつからなかったことが今、堰を切ったかのように。 信号が近づいて、男の子達は私を抜かして行った。制服を着て制帽をかぶった、まだ背が伸びる前の子供らしさの残った中学生だった。車の眩しいライトの中を、二人はじゃれ合うようにして、信号を渡っていった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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