９１歳、かあさんの夏

以前、あじさいを飾って見せても、今は秋だと思っていたかあさん。
いつも自分が正しいから、あじさいの方が咲く季節を間違えていると思っていたのかな。
それとももはや、あじさいがいつ咲く花なのかも忘れたかも。

で、真夏の今、玄関の花瓶にはひまわり。
かあさんはいつもヘルパーさんに、玄関のお花を自慢する。
きれいでしょう！！
ヘルパーさんは、ほんときれい！ひまわり、夏のお花やね。
今日は外出ない方がいいよ。すっごく暑いから。
と言って帰っていった。

今は夏。
かあさんの頭にインプットされたかな？
というより、連日の暑さに、かあさんの季節は夏に変わったかも。

暑苦しい服を着て暑い暑いと言うかあさんに、夫が、そんな服着てるからや、こないだ買ってあげた夏の服はどこになおしたんや。
と言ったら、探してみるわと言った。

ほらね、ちょっと言い方を変えると素直になるでしょ。
と私は言った。
この間は、どこにかくした！と言って、かあさんの怒りを買ったのだ。

でも、素直なのは珍しい。
たいてい、ほっといて、あんた関係ないやろ、とか、わかってるわ、うるさいなーとか言って怒るのだ。

買ってあげた夏服は見つからなかったようだ。
と言うかそれ以前に、さがすわと言ったことも、夏服があるってことも忘れてしまったようだ。



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