かあさんの満たされない毎日。

2018.09.14

希望通り元の家に戻ったかあさんだけど、不満はどんどん降り積もった。

家の壁の前にクルマを置く人がいる。

確かにしょっちゅうクルマは置かれていた。
だけど玄関の真ん前ではないし邪魔にはならない。

でも、かあさんは腹が立って仕方ないようだった。
確かに無遠慮ではあるけれど。

住んでるのはばあさん1人だし、何も言ってこないから平気でそうしてるのだろう。

だけど、夫と私は毎日かあさんの家に来てるわけじゃないから、それがどこの誰のクルマなのかわからない。

気にしないように言っても、かあさんはそのことばかり考えてずっと怒ってるのだ。

何ヶ月か、あるいは1年と何ヶ月かして、クルマはいなくなった。

だけど、またかあさんの怒りの対象は現れる。

今度は近所の家のリフォームかなんかの工事に来ていた人。

家の車庫の後ろにあった水道から水を盗んでる。
とかあさんは言う。

だけど、盗んでるところを実際に見たわけじゃない。

よく根拠もなくそんなこと言えるな。

だって、最近水道代がすごく高くなった。

絶対にあの人たちが勝手にうちの水を使ってる。

このあいだ、車庫に水の流れた後があった。
とか言う。

それは雨かもしれないし、たまたま夫がそこからホースで水を撒いた後だったかもしれない。

だけどかあさんは、思いこんだら考えを変えられない。

それも今にして思えば、じわじわと進行していた認知症から来る被害妄想なのかもしれなかった。