かあさんを、早く楽にしてあげてください。

2018.12.18

かあさんはまだ生きていて、だけど酸素吸入しても苦しそうな呼吸が続いている。

ほとんどの時間、死んだように寝ているが、時折目を開けて、
トイレに行かな。
とか、
晩ご飯作らな。
何も食べてない。
とか、言ったりした。

ほんとだ。

かあさんはもう何日も、何も食べていない。

死ぬ前に、何か一口でも食べさせてあげたい。
そう思った。

そして、早く楽にしてあげたい。

先生と話をすることにした。

かあさんの息子である私の夫もそうだけど、娘である夫の妹もその思いが強いようだった。

夫とその妹（かあさんの息子と娘）が、別室で担当医と話をした。

まず、もう延命治療なんか何もしないで、早く死なせてあげてください。
と話したようだ。

特に、夫の妹は、
熱心に先生に訴えたようだ。

あんなつらそうなかあさんの様子を見てられない。
早く死なせてあげてほしい。
と。

先生は言った。
わかりました。
そうしましょう。
今している点滴も外します。
と。

夫は、言った。
最後に、何か食べさせてあげたいんですけど。

そうですね。
いいですよ。
詰まらせるといけないので、のどを通りやすい柔らかいものを…
と、先生。

マグロとか、大好きなんですよ。
と、夫は言った。

フルーツゼリーとかが、いいんじゃないですか。
と先生は言った。

そうだよね。
マグロは…
ちょっとね。
と私も思う。

そして、点滴は取り外された。