かあさんに何かあっても…

2019.03.01

かあさんとは1ヶ月以上会ってない。

インフルエンザ流行による面会禁止がまだ続いている。

面会が解禁になって会いに行ったとしても、かあさんはいつもと変わらず…

久しぶりやな。
何ヶ月ぶりや。

あるいは、
何年ぶりやろな。

とか言うのだろう。

たとえ、数日しか経ってなくても忘れてしまってそう言うんだから、何ヶ月会わなくても一緒だ。

面会禁止も平気。
変わりないの、わかっているなら。

そして今回、夫と私は決心した。
何があっても、ボリビアに行く。

もう、旅行はキャンセルしない。
かあさんが死にかけても。

たとえ、死んでも。

高額な旅行代金、もう無駄にはできない。
そして、今回行かないと、もう私の1番大きな夢は、叶わないまま終わってしまう。

夫は、夫の妹夫婦に留守中のかあさんのことを頼んだ。

旅行中にかあさんが死んだら、葬式もやっちゃってくれ。
安い葬式のパンフレットも渡した。

もし万が一かあさんがあの日のように死にかけても、今は施設にいるから、施設のスタッフがちゃんと対応してくれる。
そして、夫の妹（かあさんの娘）に連絡してくれるだろう。

だけど…
ふと思う…

死にかけてるかあさんは、

息子は？
息子はどこや。

息子を呼んでくれ。
と、あくまで息子に助けを求めるのでは。

いつもかあさんは、何か困ったことがあれば息子を呼んだ。

かあさんは息子のために何もしようとしなかったくせに。

何かあって息子を呼んでも、息子は旅行中で来れないよ。

だけど、死にそうになったら、
息子は？
息子を呼んで。

と息子を呼び続けながら死んでいったりして。

認知症が進んでからは、どんなに息子に世話になっても、
あんたは邪魔ばかりして何もしてくれへん。
と、あくまで世話になったことを認めようとしなかったかあさん。

かわいがってあげられなかった息子に対して、歪んだ愛情があるのかも。

愛を表現できないんだ。

最後に、手の届かない息子を呼びながら死んで行くかあさんを想像したら、涙が出てきちゃった。

でも、絶対無駄な心配だよね。

旅行から帰ったら、インフルエンザの面会禁止も解けて、

久しぶりやな。
と、言っていつもの調子出てきて…

で、あと何年も生きるんだよ。
かあさんは。

きっと。