かあさんの愚痴日記

2019.07.03

かあさんの日記を読むと、ぼやいて嘆いて愚痴言って…そればかり。

かあさんは、人に弱みを見せないタイプだから、お金がないとかしんどいとか、人には言わない。
そんな素振りは見せない。

はけ口は日記だった。

その白いノートは、ただ、かあさんの愚痴や不満を受けとめ続けていたのだ。

それは積もり積もって、台所の隅に何冊も重なって、ひっそりと古ぼけていた。

かあさんの心の叫び。
…のかたまりがそこにある。

私が今それを見て、あれこれアドバイスしたところで、何の役にも立たない。

勝手に突っ込んだり、全否定したりしちゃってるけど…

とにかくかあさん、不幸だったようだ。

私からしたら、ストレスのたまる仕事もしてないし、一人暮らしには広すぎる家で好きなように暮らしてて、お金がなくなっても息子に言えばなんとかなる、羨ましいような暮らし…
だと思っていた。

それなのに。

かあさんは色んなこと気にして、それを苦労だと感じて生きてた。
気にしすぎ。
としか言いようがない。

自分から幸せになろうとしない。
自分で自分を幸せにできない。

かわいそうなかあさん。

もう少し、かあさんを喜ばせてあげられたらよかったね。

だけど、あれで精一杯だった。
…と思う。

かあさんときたら、いつだって、憎たらしすぎたんだから。

私は今、かあさんが1年前までいた部屋で、かあさんが見てたテレビを見て、時にガハハと大笑いしている。

なんて幸せなことか。

かあさんにはこんな幸せもなかったのかな。

そう言えば、かあさんの息子である私の夫もそうだな。

私がバラエティ番組を見ていると、
よくそんなしょうもない番組見てるな。
と、しらけた顔で言う。

夫は、ためになる番組しか見ないんだって。

かあさんにも、夫にもわからない。

そんなお笑い番組が、どれほど私を幸せにしてくれることか。