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カテゴリ:認知症 介護
![]() かあさんと、その息子である私の夫は、仲が悪かった。 いつも喧嘩ばかり。 だからかあさんに桜を見せてあげるために、私はすごく苦労した。 毎年のように。 かあさんを花見に連れて行ってあげて。 と頼んでも、夫はがんとして嫌だ、行かないと言い張るのだった。 トシ取ってからのかあさんは、自力で花見は絶対に無理。 桜が咲いてるのに見に行けないなんて、桜いのちの私にとってはありえないことだった。 桜を見たいのに見られないまま、死んでしまったら… そう考えると、どうしても泣けてきてしまう私。 桜を見せてあげられないままかあさんが死んでしまったら、どんなに後悔するだろう。 だから毎年私は、泣きながら夫に訴える。 それでも夫は、頑なに嫌だと言い続けるのだった。 だけど結局、夫は折れて、毎年1回はかあさんに桜を見せに連れて行ってくれた。 ある年は、かあさんと私は桜の下のベンチに並んで座って桜を見た。 あんたが頼んでくれて連れて来てくれたんやろ。 とかあさんは言った。 そうじゃなきゃ桜を見られないこと、かあさんはわかっていた。 そうして、若い頃の想い出話を聞かせてくれたりした。 かあさんが呼吸困難になって入院して、なんとか一命を取りとめ退院した後は、近所の公園に行った。 何歩も歩けなかったから、たとえクルマの中からでもいい、桜を見せてあげて。 と夫に頼んだのだった。 桜の季節はもう終わろうとしていた。 クルマから降りて、すぐそばの低い石垣みたいなところに、並んで座った。 他の桜はほとんど散りかけていたのに、その桜は満開だった。 まあ、見事な! とかあさんは言った。 そして、よう連れて来てくれたことや。 とつぶやいた。 たった1本の満開の桜。 だけど、本当にその桜の花は輝いてた。 あれが私たちがかあさんに見せてあげた最後の桜。 それからかあさんは、精神科に入院し、退院するとすぐに今いる施設に移った。 今、かあさんは食欲もなくなって、多分ほとんど寝たきりだ。 もう桜は見られない。 見せてあげたくても。 かあさんは認知症だから、桜を見てもすぐ忘れちゃうし、多分今の季節も、最後にいつ桜を見たのかもわからなくなってる。 それは、もうかあさんに2度と桜を見せてあげられない私にとって心の慰め。 かあさんの頭の中には、少しでも、桜の花があるのかな? 私の頭の中には、最後にかあさんと見た桜が、まだ咲いてる。 まぁ、見事な! かあさんの言葉とともに。 ![]() ![]() にほんブログ村 ![]() にほんブログ村 人気ブログランキングへ ![]() ![]() 母の日 プレゼント ギフト 花 スイーツ 和菓子 2020『和風 プリザーブドフラワー (カーネーション)&上生菓子セット「遅桜(おそざくら)」 和箪笥箱入り 送料無料(北海道・沖縄を除く)』 ![]() さくら紅白ロール【桜 限定 ロールケーキ クリーム 長野 おやつ お取り寄せ スイーツ 信州】【ギフト 誕生日 バースデー お礼 お祝い プレゼント 内祝い】洋菓子 お菓子 手土産 お花見 母の日 入学祝い ホワイトデー お返し かわいい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.04.17 14:21:28
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