お宝探し

2020.06.03

このあいだ、夫がゴソゴソ何か探していて、しばらくしたら、
お宝発掘したぞ〜
と言って、幾つかの財布を持って来た。

1階の廊下の突き当たりにある、電気スタンドを置いてあった戸棚の中にあったらしい。

そこは見落としてたな〜
かあさんが入院中にあちこち探しまくったんだけど、その戸棚は見逃してた。

だけど、他の色んな場所からかあさんの財布は幾つか見つかっている。すでに。
でも、期待しながら財布を開けてみたら、どれもこれも小銭しか入ってなかった。
1円玉ばかり入ってる財布もあった。

かあさんは中身が小銭だけになったら、中身ごと財布を見捨てる癖があったみたい。
で、新しい財布に替えて、またしばらくしたら飽きて古い財布をそこらへんにしまい込む。
その際、小銭はお金だと認識されてなかったのかもしれない。
贅沢なかあさん。

だから、今回夫が発掘した財布も、どうせそんなことだよ。
お金がザックザク…と言っても、1円玉がザックザクなんだろ。
と思ってたら…

見てみ〜
こんなん入ってたんやで〜
と夫が見せたのは、数枚の100円札だった。

え〜
いつの話？いつ直しこんだんだろ、かあさん。
別の財布には、2000円札が1枚入ってた。
お〜　珍しい。
そんなん、お目にかかるのは2回目だよ。
出回ってる頃でさえ、私の目の前には姿を現さなかった2000円札。

いるか？
と夫が言うから、
いらない！
と即答。

使いにくい。
自販機でも今時使えないだろう。
不憫な2000円札。

そして、その他にも、
こんなんあったで〜
と夫が見せてきたのは、数枚の記念コインだった。

さっそく調べてみたけど、値打ちのある物はなかった。
中には、オークションで数十円の物も。
100円札だってたいした価値はない。

やっぱりろくなもんないやん。

ただ、ほとんど傷みのないオーストリッチの財布があった。
かあさん、いつもお金がないないって嘆いてたけど、かなりの高級志向。
人目を気にするタイプだったから、着る物もいい物ばかりそろえてたし、バッグや財布も安物ではなかった。
そらお金なくなるよね〜

元々、かあさんの住んでた家で金目の物を探し出したきっかけは、かあさんが入院した時、入院費や葬式代を捻出するため。

実際には、かあさんはまだ生きている。

死んだら豪華な葬式をしてと言ってたかあさん。
無理だよ〜
かあさん。

あなたの息子夫婦は自分たちの生活でいっぱいいっぱい。
それに、後々かあさんがこの家にあきれるほど溜め込んだガラクタを処分してきれいにするのに、いったい幾らかかるのか想像もできない。

ごめんね。
希望通りの豪華な葬式は無理〜

だけど、今のかあさん、
自分がいつか死ぬことは、微塵も考えてなさそう。