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91歳、かあさんの夏

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2020.06.12
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カテゴリ:認知症 介護 
面会の予約をして、夫と2人、かあさんに会いに行った。
特養の玄関ロビーにビニールカーテンが張られていた。
スタッフさんが体温計を持って事務所から出て来て、まず検温。

それからビニールカーテンのこちら側にあるソファーにかけて待ってたら、車椅子に乗ったかあさんが連れられてきた。

かあさん、なんかにこにこしてるやん。
すっごい元気そうに見える。
なぜって、夫も私も、もっと弱ってるかあさんを想像してたから。

夫と私はかあさんの方に向きを変えて、ビニールカーテンを挟んで座ったけど、かあさんは特に私たちの方を気にかけるでもなく、窓の方を見て、
まあ、きれい!
と言った。

窓の外には黄色い花がたくさん咲いていた。
花の名前は知らない。
今の季節、よく見かける花だったから、私は気にも止めてなかった。

確かにきれいにたくさん咲いてるよね。

だけど、かあさんに会いに来た私たちは、かあさんの目に入ってないのかな?

ほらほら、ノートとペン持って来たでしょ。
耳の遠いかあさんと話すために。

夫は、ノートに、
おばあちゃん、元気そうでよかったです。
と書いた。
ビニールカーテンにノートをくっつけてかあさんに見せた。

かあさんはこっちを見て、
なんやて?
おばあちゃん?…そうでよかったです?
と、声を出してその文字を読んだけど…

なんや?
おばあちゃんて、ばあさんのことか?
と怪訝そうに言った。

ねえ、かあさん、自分がおばあちゃんだと思ってないみたいだよ。
それに、「元気」が読めないみたい。

ほんまやな〜
と夫がつぶやく。
かあさん、漢字は得意で、呆けてからも随分難しい字を読めたのに。

それに、その字、汚すぎるし。
と私は言った。

かあさん、息子のこと、忘れたか?
すぐにまた窓の外に目をやって、
まあ、きれい!
あんなたくさん咲いて。
ほんまきれいなこと。
と叫んでる。

ね、あなたの息子が会いに来ましたよ。
って書いてみたら?

そうやな。と言って、
夫はノートに再び文字を書き出した。
ひらがなで。

あなたのむすこがあいにきましたよ。
おぼえてますか。

ビニールカーテンにつけて見せたノートを見て、かあさんやっぱり見にくいのかな?
2枚貼り合わせたビニールシートのあいだからノートをつかもうとした。

それはまずい。
かあさん、こっち側の物にさわっちゃダメだよ。
と言ってもわからないよね。

でも、かあさん、読むのやめた。
やっぱり、ビニールカーテン越しではよく見えないのか。
すぐ興味なくして、また視線は窓の外のお花に。

かあさん、目をはなすと忘れちゃうから、お花を見る度、初めて見たのと同じ感動なんだろうね。

あんなに何度も、きれい、きれいって喜んでる。

なんかおかしくて笑った。
ちょっと涙も出た。

よかったよ。
喜んでくれて。
かあさんにきれいなお花を見せてあげられて。

そうやな。
夫もそう言って…
だけど、ちょっと、しょんぼり?

すっかり息子のことは忘れちゃったかな?
もちろん、私のこともね。


そろそろ帰ろう。
かあさん、お花も何度も見たし。

面会は15分。

ありがとうございました。
帰ります。
とスタッフさんに声をかけた。

スタッフさん、かあさんに近寄って、
3階に上がっておやつ食べましょうね。
と言いながら車椅子を引いた。

かあさんはスタッフさんの方を見てにこにこしてた。

夫と私は、かあさんに手を振ってたけど、かあさんはちっともこっちを見ない。

前回来たのはもう3ヶ月以上前。

夫がかあさんに、
わしのこと、覚えてるか?
誰かわかるか?
と聞いたら、

肝心な人、忘れるわけないやろ。
と、かあさんは言った。

今、かあさんにとって肝心な人は、このホームのスタッフさん。

夫も、私も、かあさんにとってもう肝心な人でも何でもない。
きっと、知らない他人と同じ。

ほら、手を振ってくれてますよ。
とスタッフさんがかあさんに言って、こっちを向かせてくれた。

小さな、かあさん。
こっちを見て、2、3度手を振った。

それから、振り向きもせず、
スタッフさんに連れられて行った。



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最終更新日  2020.06.12 22:34:38
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