生きるために変化したかあさん

2022.07.03

テーマ：認知症(611)

費用の明細やワクチン接種に関する書類が届くだけで、かあさんの今の状態については何も連絡がない。
ってことは、かあさん、そこそこ元気でいるのかな？

そう言えば、費用の明細と一緒に、面会はリモートのみ。
ってお知らせが入ってたけど。

もう最近、面会に関して興味がなくなった。
最後にかあさんと直に会った時、かあさんは息子である私の夫も、もちろん私のこともすっかり忘れたようで、何の興味も示さずによそ見してた。かあさんを喜ばせることももうできそうもない。

もし、直接面会できたとしても…

かあさんが元気そうなら私たちは安心するけど、かあさんからしたら、くつろいでいる時に突然1階の玄関ロビーまで連れて来られて、誰だか知らない人に引き合わされる感じで、迷惑なだけなんだろうって思うし。

かあさんは長生きするために進化して、痩せて小さな身体を手に入れた。
と思ったけど、さらに…

施設内では、嫌われずにお世話してもらえるように、角や牙を隠してる。
私たちと同居してた時は、しょっちゅう怒って金切り声を上げてたのに、今や怒ることも喚くこともせずに穏やかな顔をして。
できるだけ長く快適に生きていられるように。

すごいよね、かあさんは。
最強やね。
と言ったら、

最強か？
最悪じゃなくて？
と夫は言って笑った。

今のかあさんは不思議なくらいの変身ぶりなのだ。

一緒に暮らしたあの頃、

確かにかあさんは最悪な鬼ババァだったのだから。

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