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テーマ:お勧めの本(7214)
カテゴリ:小説(ファンタジー)
半年ほども前に、しおん☆彡さんのコメントを読んでネットで買って読んだ本なのに、感想を書くのが今になってしまいました。
上橋菜穂子さんのファンタジー小説です。 話の舞台は、日本の室町時代ごろのような印象を受けましたが、特定の場所や時代ではなく、明確に日本というわけでもなさそうです。 まあ、武士がそれぞれの領地を支配したり、争ったりしていた時代の日本風異世界と思えばいいでしょうか。 主人公の小夜は、森のそばで産婆の祖母とふたり暮らしの少女。この小夜が、犬に追われる子狐をふところにかくまい、森のなかの屋敷に隠されて住む少年・小春丸に助けられるところから、物語がはじまります。 日本昔話……とでもいった雰囲気のはじまりですが、話が進むにつれ、封印されていた小夜の恐ろしい体験、二つの国の泥沼のような憎悪といった陰惨な状況が浮き彫りにされていきます。 小夜も小春丸も、敵方の呪者にずいぶんむごい目にあわされているのですが、しかし争い全体をみれば、敵方が全面的に悪者ともいえないのですね。 そんな人間たちの諍いにからんでくるのが、守り人シリーズのナユグを連想させる異世界「あわい」と、そこに住む霊狐たち。作者の書いたあとがきに、「〈なつかしい場所〉の物語」とありましたが、この霊狐たちが、昔話的ななつかしいムードをつくりだしています。 こういう雰囲気は好きですね。 昔話的といえば、ラスト近くでの春望(小春丸の父)の決断もそうですね。 結局、これが、国境紛争などでの憎悪の悪循環を終わらせる唯一の方法。わかっていても、こういう決断をする為政者ってのは、めったになさそうな気がします。 それだけに、この解決法、ほっとしました。 狐笛のかなた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年11月08日 17時43分35秒
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