2010/02/27(土)12:05
『イクトミは歩いていました・・・・』
イクトミは歩いていました。
イクトミのお話は、どれもこんな調子ではじまります。
羽根の帽子をかぶり着飾ったイクトミは、今日もまた「おれは最高にカッコいいぞ」とご機嫌で出かけていく。
そうして歩いているうちに暑くなってきたので、大岩の陰で一休み。
ブランケットを持って歩くのが嫌になったイクトミは、お礼に(本当はそんな気はなかったけれど)、いつも日に焼けている大岩にも日陰を作ってあげるよと、そのブランケットをかぶせて、また歩き始める。
雨が降ってきたので、一張羅が濡れては大変と、大岩からブランケットを取り返す。
そして雷が鳴り、雨が降り始めると、大岩がゴロゴロところがりイクトミの上に。
動けなくなったイクトミは、あれやこれやと画策し、動物たちに助けを求めるけれど、どうしても抜け出すことができない。
やがて夜になり、そこにやってきたたくさんのコウモリ達は、イクトミからあることないことを聞かされ、怒り狂って大岩に激突する。そうして助かったイクトミは、またどこへともなく歩き始める。
けれどそのせいで、コウモリの顔は平たくなり、大草原のいたるところに石ころが散らばっているのですって。
そんなふうに歩きながら、イクトミは自分で作ってしまったいろんな災難に巻き込まれていく。
ある時は川面に映った木苺を取ろうと、浮き上がらないように自分の首に石のついたロープを巻きつけ川に飛び込み溺れそうになったり、またある時はカモをだまして丸焼きにして食べているうちに、木の枝にはさまってしまったり、そしてまた神聖なバッファローのしゃれこうべの中に頭を突っ込んで抜けなくなり、その格好のまま川に落ちて村に帰りついたりと、イクトミはとんでもないことを巻き起こしながら、何事も無かったようにまたどこかへと歩いていく。
こんなイクトミの話は昔話の登場人物というのではなく、今でもうぬぼれやはイクトミに喩えられ、人々の中に生きているのだそうだ。
絵本の翻訳は、倉橋由美子さん。ポール・ゴーブルの絵は細かいところまで描かれているので、平原インディアンの人々の服装や持ち物なども知ることができる。
「イクトミと大岩」 「イクトミと木いちご」
「イクトミとおどるカモ」 「イクトミとしゃれこうべ」
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