青森県八戸市は人口25万人、工業都市であり魚種豊かな全国有数の漁業町でもあります。昔は軍馬生産でも知られたところで、郷土民芸玩具『八幡駒』として歴史が残っています。
ウミネコ繁殖地の蕪島、浜辺まで芝の種差海岸、魚市場の朝市など観光資源が豊富な所、県やM財閥系製紙会社その他の仕事で、年間平均約30日以上も生活した町ですから一入です。
今回はそんな町に800年前から残る『えんぶり』祭りと、南部民芸料理店『蔵』のご案内です。
八戸えんぶりは春を呼ぶ田植え準備から、秋の収穫までの豊作祈願のお祭りになります。
毎年2月17日~20日に開催。元々は、小正月に行われていたのが明治維新直後に『物乞いに似た行為』と、当時の県より禁止令で一度は廃れたお祭りです。しかし、明治14年市内稲荷神社系の例大祭として、神輿行列を仕立て信仰は復活しました。
こんな時節に訪れると、寒さの中で毎夜、そこかしこで練習する笛や太鼓、鉦の囃子が遅くまで聞こえ懐かしい限りで、そんな歴史を持つ国指定の重要無形文化財のお祭りになっています。
農機具、苗代を平らにする『えぶり』を持ち舞ったのが始まりとかで、その言葉が訛り『えんぶり』になったそうです。太夫と呼ばれる舞手が、昔、農作業に活躍した馬の頭を形取っためでたい烏帽子を被り、囃子に合わせ頭を大きく振る独特の舞が特徴。祈りを込めた一連の舞は、稲作の種蒔きから稲刈りまでが表現されています。舞手の太夫が3 or 5人、笛、太鼓、手平鉦、歌い手などが総勢15~20名で組を作り、毎年30組以上が参加して行われています。
市中心街にある長者山新羅神社に、一番札を狙って早朝から各えんぶり組がぞくぞく参集し、本殿の前で順番にえんぶり踊りを披露する『奉納摺り(舞うこと)』。奉納後、市街地通りへ行列となって練り歩く『えんぶり行列』。圧巻はのろしを合図に、全てのえんぶり組が一斉に摺りを行う『一斉摺り』。この地方特有の涼夏を招く『やませ(偏東風)』冷害で娘を売った悲しい昔もあり、寒く雪が舞うこの時期にワラ靴を履きながらの熱演は、きっと今年も豊作になること請け合いです。
出張定宿はいつも街の中心部、その向かい側に350年前の白壁土蔵をそのまま使った南部民芸料理処『蔵』があります。かれこれ35年もの付き合いで、祭りの前後はこんな店が楽しい。
店雰囲気はデートか接待かと評価は二分されるようですが、一階・二階共に囲炉裏を切り、つい立で仕切り、柱・床は歴史の黒光り、民芸小道具で飾り、東北民謡が流れる情緒あるお店です。
でも二階の天井が一寸低いので、階段昇り降りにはくれぐれもご注意。予約もお忘れなく。
いつもは和服姿で店雰囲気を醸すウエートレス、昨年の訪問には普段着でした。時代と共に接客や料理提供法が変わって来て、客としては効率よりも無駄・手間の豊かさが欲しいものです。
昔は燗酒を注文すると、片口南部鉄器に酒を注いで傍らに持って来て、囲炉裏で燗を付けながら束の間の話し相手をしてくれたのに・・・。湯豆腐だって8種類もの沢山の薬味、小振りな末広がり竹ザルに持って来る演出があったのに・・・。忙しい時代に許されない郷愁なのでしょうか!
そんな寂しさを補って余りあるのが、南部地方の民芸料理の美味しさです。
地場の豊かな刺身盛り合せ、イカソーメン、味噌イカ焼き、蟹味噌和え、蕎麦カッケ、蕎麦の唐揚げ、帆立バター焼き、ホッケ焼き、菊の酢和え物等など・・・仕上げはザル蕎麦です。
これが何時も注文するメニューの一部、お酒をたっぷり飲んでも5千円程で済みますから、財布に優しいお店になります。(もう一寸美味しい地酒が欲しい!)
次回は見事な梅開花時期を迎えた、茨城県水戸『偕楽園』の梅林を予定しています。 |
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最終更新日
2008.02.09 06:54:57
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