カテゴリ:家/土地 雑感
ゴールデンウィークの新型コロナ緊急事態宣言のなか、 我が家を手掛けてくれた日伸建設の棟梁たちは、 工房に籠り次に建てる家の手刻みに励んでいたのでした。 そんなお出かけ自粛のなか私たちは建築現場を訪ねたことは、 5/2稿「・・・日伸の建売りづくり~買ってきた総菜より手作り料理」に掲載しました。 そこで親方社長に我が伝統構法の家がどれだけ住み心地が良く満足度が高いかをお話ししたら、 帰ってきた言葉「・・・あれは、あん時やからできたんや・・・」。 えっ!どういうこと? ゴールデンウィークが明け、 業界への忖度からマスコミが取り上げるのを控えていたという情報が、 そろそろ一般向けに報じ始められるそうな・・・。 その最中に不安要素を煽らないようにというスポンサーへの配慮があったんだとか。 親方社長曰く。 ウチは昨年末からその情報を得て手を打っていたし、 前々から材木をたっぷりストックして天然乾燥させてあるし、 そもそも国産材やから直撃を受けることはない。 それでも今、材木を仕入れようとすると、 あの頃の価格ではとても手に入らんし、 新規客には売ってもらわれへんのちゃうか・・・とのこと。 このウッドショックについては、 1か月ほど前にはインターネット上ではその話題で賑わい始めていましたから、 私は知っていました。 今は解説記事や動画など、ものすごい数がヒットするようになっていますので、 詳細はぜひ検索してみてください。 !世界的な新型コロナウィルス禍 →国際貿易の停滞 →米国と中国の好景気による住宅建築の活況 →日本の先進国最下位の経済による外材の買い負け →外材が入って来なくなった →外材の価格高騰 →林業育成や国産材需要振興や住宅政策など政府の無策 →外材一辺倒による建築業界の体質 →木材の奪い合い →国産材の価格上昇 →住宅価格の上昇・建築の停滞・工務店の倒産 →我々一般の人が家を新築できなくなる? ・・・とまあ、こんなに単純ではないんでしょうが、 素人理解としてはこんな感じでしょう。 そこで、私たち家を発注する側からこのウッドショックを見た場合、 こんなふうに言えると思います。 まず、世界中が新型コロナウィルス禍だというのに、 先進(含中国)諸外国では住宅建築の内需が拡大できるほどこれまで所得が上がってきたにも拘らず、 日本ではこの何十年と政府の無策により私たち一般人の所得が下がり続けているということ。 安値でしか買えないので、家は品質が低くても安けりゃいいと、 ローコスト住宅が空前の流行をみせており、 耐久性は1代30年あればいいとスクラップ&ビルドを是としていること。 それだけでなく、家が安いということは人件費をまず削るということなのに、 それを買い手が是としていて、結果 現場のつくり手に正当な対価が支払われず、さらに経済が低迷すること。 木材の輸出国側に日本に売る動機が失せてしまうほど、 安くしか買おうとしないのにそのくせ品質にはうるさいこと。 どうせ大壁の中に隠れる2✕4材でも日本向けだけには面取りしないといけないし、 節が多いだのちょっと反ってるだの建築にはどうでもいいことに日本は文句をつけるそうです。 それと、材木は高温機械乾燥が良いと、 そして集成材が良いと、 それが家づくりには適しているし欠かせないと思い込んでいること。 外材(ホワイトウッドやSPFなど)が、日本の風土に適しないとか(白蟻や腐朽に弱いなど) 比較的耐久性が低い材木(高温機械乾燥して接着剤で貼り合わせた集成材など)とかでも 安ければと選択してしまうこと。 国産無垢天然乾燥材の本来の性質・・・節があったり、ヒビがあったり、動いたり・・・を、 取り立てて問題ではないし見ようによっては良さでもあるのに、 許容しないこと。(曲がったキュウリは売れないの如し。) 日本の木材の良さや、林業や林産地のことを、 マイホームを建てようというのに知ろうともしないし、情報も少ないこと。 これは毎日の食材についても言えることかもしれません。 それでも食の安全だの食物アレルギーだの産直だのと結構言われている割には、 木材や建材についてはまだまだ無頓着度が高いと言えるでしょう。 家は国産材だけでも十分つくれるし品質も耐久性も格段に上がるのに、 輸入材に頼らないと難しいと思い込んでいませんか? (☝国産材だけで造られた我が家・・・ここには適材適所、檜・杉・松・栗が。) ウッドショックは、オイルショックと似ているようで、 根本的に違っているところがあります。 それは、石油は日本ではほとんど取れませんが、 木材は実は100%自給できるはずの資源であるということです。 農業だって自給しようと思えばできるのに、食料自給率はたったの38%ほど。 木材自給率も、少しずつ伸びてきてるものの、今たった38%弱。 日本は森が減ってきたとはいえ、国土の68%ほどが森林です。 年間に伐採されるのはその内たった0.5%強だそうですから、ものすごく大雑把に それを1.5%ほどにするだけで、木材の自給率は100%にできることになります。 そんなに簡単に単純にできるわけがないのは百も承知の上で、 第1次産業の自給率がこんなことになっているのは、 長年に渡っての政府の失策としか言いようがありません。 輸入が高騰またはストップしたら食えない住めないなんて、 国家経営のうえで安全保障上の大問題でしょう。 でもこの問題は、私たち消費者の無知・無自覚が招いたとも言えます。 主権者は私たち国民なのですから。 国産材は高価だと一般には思われているようですが、 実は今は普通の規模の家を丸ごと外材で建てるのと国産材で建てるのでは、 たったン十万の差にしかならないそうです・・・一生モノに対して軽自動車さえ買えない価格差です。 それで林業家には、労力に見合った対価は入らず、林業では生計を立てられないので、 結果的に山は手入れされず、出荷もされず、山はどんどん荒れていくという状況だそうです。 そんななか、政府の無策と経済界の論理に任せていては日本のと林業は滅びると、 各地で間伐や下草刈りなど山を守る民間の運動が起こり始めています。 2020/1/27稿「間伐ボランティア体験」でも触れた間伐ボランティアのグループや、 2021/4/25稿「きらめ樹間伐ツリーハウスプロジェクト」で触れた活動など、 「ウッドショック」 ならば、いま工務店と契約するにはどんな注意が必要かというような 目の前的なことは別途検索していただくとして、 これをきっかけに、SDGs(持続可能な開発目標)の視点から家づくりをしてみませんか。 これをきっかけに、持続可能な日本の国土・環境・経済・住宅建築の視点から、 国産材を使った家づくりに施主・住まい手としてシフトしていきませんか。 外材が高騰またはストップすることでビルダーによっては経営が危うくなりそうですが、 我が日伸建設はずっと以前から一貫して国産材で家づくりをしているので、 価格は多少上がるかもしれなくとも安定して木材の供給を受けられるとのこと。 (材木は産地からまず工房に入れて、棟梁によって手刻みされます☝・・・プレカット工場から建築現場に直に搬入されるのではなく) いったん高騰した外材価格は、 元の水準までは決して戻らないだろうというのが大方の見方だそうです。 それなら、国産無垢材は十分選択肢に入ってきます。 住み心地や満足感の圧倒的な差は、そこに暮らした者でないとわかりません。 家を建てるなら、ぜひそれを手に入れましょうよ。 できる限りの国産材へのシフトを考えましょうよ。 意識をもった信頼できる地域の工務店を見つけて。 それって、思ってるほどハードルは高くありませんから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年05月09日 06時59分00秒
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