「平成の京町家」
まだ伝統構法も何も知らなかったころ、前の記事にもしたが京町家みたいな家がいいなぁとなんとなく思い描いて調べていたところ、平成の京町家モデル住宅展示場KYOMO(きょうも)[☜click]というのを見つけた。「平成の京町家」とは[☜click]・・・> 歴史都市・京都においては,単に省エネ住宅を普及させるのではなく,> 長い年月をかけて培われてきた豊かな住文化を発展的に継承し,> 美しいまちなみ景観を保全,再生させていく視点を併せ持った> 省エネ住宅の普及が求められます。> そのひとつの答えが,京都の伝統的家屋である京町家の中にあります。> こうした伝統的な京町家の知恵と現代的な技術を融合した「平成の京町家」は,> 京都のまちや自然と共生する住まいと住まい方を提案するもの・・・京都市による認定制度[☜click]だとか。さっそく河原町通塩小路の会場に向かった。センターハウスは、平成の京町家普及センター[☜click]になっている。一歩踏み入れると、「あぁ、この家に住みたい!」と思わせる空間。この建物は、> 木はもちろん、土や紙などの自然素材を用い、>「伝統構法」と呼ばれる日本伝統の構法と、> 職人たちが長年にわたって受け継いできた様々な伝統技術によって作られています。> 京都建築専門学校の協力の下、同校の学生が中心となって> 木材の刻みから仕上げまで建設しました。・・・というもの。「平成の京町家」の研究・普及・流通促進・認定審査などを行う平成の京町家コンソーシアム[☜click]という官民協働組織の活動のようだ。他にも民間3社が認定基準を満たしたモデルハウスを建てている。これらも3社3様、なかなか魅力的!自分たちの家のイメージづくりに、大いに影響を与えるものだった。けれど、そのころは建築工法については何の知識もなく、イメージや間取りやデザインという観点からしか見ていなかった。今あらためて見ると、なんとセンターハウスは>「伝統構法」と呼ばれる日本伝統の構法・・・って明記してあるではないか!!出展3社のモデルハウスはどうだったのか?展示場のHP[☜click]を見ると、どうも普通の「在来工法」のようだ。いくらよくできていても、あくまでも京町家「風」でしかない?あのころは、今とは見る目がまったく違っていたのが悔やまれる。確かめに行こうにも展示場KYOMOは、5年間の期限を終え、昨年10月末日をもって閉鎖されてしまった。なんと京都新聞(2018年01月16日08時38分)[☜click]によると、>「平成の京町家」・・・認定物件は2010年度の開始から8年間で72戸と> 目標の1%にすぎず、本年度は認定住宅への補助金を停止し・・・> 長期優良住宅にすることでコスト高になるのに加え、> 基準が細かく使いにくいという声がある・・・ んだとか。京都市の調査によると京町家は過去7年間で5,600軒以上が失われ、これは1日当たり約2.2軒というものすごいペースなんだそうだ。この保全も重要な課題だが、建て替え新築に「平成の京町家」をというのもとても素晴らしい取り組みだっただけに、今後の発展的継承が期待される。確かに京都の景観保持や現代的課題である省エネや現代生活への適合なども大事であろう。まずはその一歩として評価したい。しかし、「伝統的な京町家の知恵と現代的な技術を融合」を標榜するんなら、見てくれ京町家風で良しとするのではなく、建築基準法「違反※」とされる「石場建て/伝統構法」が当たり前に一般の人が手の届く範囲で建てられる突破口を、他ならぬ京都が官民を挙げてこういう取り組みの中で主導するべきではないのか!そんな観点が平成の京町家普及センターにも平成の京町家コンソーシアムにも表立って見受けられないところに、今あらためて物足りなさや不満を覚えるのです。※ 土台を設け、土台は基礎に緊結しなければならない旨