星とカワセミ好きのブログ

2022/08/14(日)06:37

渡辺宙明さん(1)人造人間キカイダー(1972年7月~

歌謡曲/映画/テレビ(214)

作曲家の渡辺宙明さんですが、初めて手掛けた子供向けSF特撮番組は、「人造人間キカイダー」(1972年7月~1973年5月)でした。   人造人間キカイダーの頭は、電子部品が丸見えとなっており、初めて見た時にとてもインパクトがありました。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 「スーパーアニソン作曲家渡辺宙明大全/腹巻猫&宙明サウンド研究会/2019年9月25日 初版第1刷発行」p35に、人造人間キカイダーを手掛けることになった経緯が書いてあります。 「しばらくして電話で、『決まったよ。SFものだよ』と(東映から)連絡がありました。大人向けのSFものだと思って、『これは面白いな』と打ち合わせに出かけたら、子ども向けだというのです。『なんだ子ども向けか』と思わず言ってしまった。そしたら『何を言っているんだ。子ども向けがいいんだよ』と。本当にその通りでしたね。この作品が人生の分かれ目になりました。もちろん、決まってからは夢中になってやりましたよ」 主題歌の「ゴーゴー・キカイダー(作詞:石ノ森章太郎、作曲・編曲:渡辺宙明、歌:秀夕木、コロムビアゆりかご会」についても、記載がありました。 ー ジャズを取り入れたサウンドが新鮮でした。 これ以前に渡辺貞夫さんにジャズのハーモニーを習ったことが大きかったです。クラシックの知識だけでは、こういう曲は書けないんですよ。クラシックのハーモニーでは厳密な四声体で書けとか、並行五度はよくないとか、三音を重ねちゃいけないとか、よけいな決め事がありすぎて、それに縛られているとなかなかいいメロディにならない。メロディの研究にはクラシックの和声学は役に立たなかったのです。 ジャズにはリハーモナイゼーションという手法があり、ハーモニーを変えてもいいので、一つの音にいろいろなコードがつけられる。メロディがつくりやくすなるのです。 ーーーーーーーーーーーーーーー 「泣き虫プロデューサーの遺言状~TVヒーローと歩んだ50年~/平山亨/講談社」p150~151 を読むと、平山さんが人造人間キカイダーの番組を手掛けるきっかけが書かれています。 「あるとき雑談の中で、同じアクションでもちょっと涙っぽいというかラブロマンスが入った番組をやってみたいと(石ノ森章太郎さんに)話したら、『じゃロボットかな」と言ってそのまま紙の上にペンを走らせ始めた。さすがに30分では無理だったが、1時間後には『キカイダー』の赤青半々のキャラクターが形になっていった。その絵の中にはすでにギターを背負ったジローやサイドカーもあったように思う」 「NET(現テレビ朝日)の宮崎慎一くんから『仮面ライダー』みたいな企画はないかという連絡があった。あるお酒メーカーが土曜日夜の8時から提供する一時間枠で、東映動画が制作するアニメ『デビルマン』の前を受け持つ30分の番組が欲しいという。当時、その時間帯はTBSで俗悪番組のレッテルを貼られながらも、最盛期には40パーセント台の高視聴率を記録したドリフターズの『8時だョ!全員集合』が一人勝ちの状態だった。なまじの裏番組じゃ対向できないんで、子供にアピールする30分番組を2つぶつけようというわけだ」 「NETの会議で最初に叩かれたのはタイトルで、『キカイダー』はふざけすぎなんじゃないかと賛否両論があった。実は私も不安があったから辻堂の自宅近くにある海浜公園で、『機神』など他のタイトル候補と一緒にチビちゃんたちに見せた。子供たちは決して「キカイダー」が格好いいとは言わなかったけど、用意したタイトルの中で一番反応よかった。反応が良いのは印象深いということだから、NETのお偉方を説得する自信がついた。とかく理屈に走る大人と違って、直観的に良し悪しを決める子供の意見は貴重なんだ」 ↓ 人造人間キカイダー。 「スーパーアニソン作曲家渡辺宙明大全/腹巻猫&宙明サウンド研究会/2019年9月25日 初版第1刷発行」 「泣き虫プロデューサーの遺言状~TVヒーローと歩んだ50年~/平山亨/講談社」 )

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