カテゴリ:河合奈保子さん
河合奈保子さんが全曲作曲したアルバム『スカーレット:1986年10月21日発売』をレコーディングするため、1986年6月下旬に奈保子さんは神奈川県三浦半島の観音崎のスタジオで合宿しました。
今回のプロデューサーは売野雅勇さんで、作詞は作詞家の吉元由美さんです。 「奈保子しんぶん Vol.37 /昭和61年(1986年)7月発行/芸映プロダクション・芸映友の会・河合奈保子FC編集部」の中に、観音崎のレコーディング合宿と、売野雅勇さん、吉元由美さんのコメントが記されていたので紹介します。 ーーーーーーーーーーーー 6月下旬のレコーディング合宿を最後に、無事すべての曲の録音が終了しました。ハッピーソングあり、バラードありのバラエティに富んだ曲の数々。また、さすがに音楽の基盤がしっかりしているだけあって、優れたメロディラインに思わず唸ってしまいます。今月は、レコーディング合宿の報告とともに、スタッフからのメッセージを紹介したいと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーー 【合宿エピソード】 本当にがんばってくれました。前々から根性のある人だとは思っていたけど、今回のレコーディングで、増々奈保子の音楽に対する熱い姿勢を知ることができました・・・。 と、これはレコーディング制作に立ち会ったスタッフたちのコメントです。 たった一音の微妙なズレを見逃さず、詞とメロディーを吟味していくその様は、まさにアーティストそのものだったということです。 ところで今回、レコーディング合宿の中ですべて制作されたわけですが、何日間も東京を離れることで、合宿の前後は相当キツイスケジュールだったことも確かなのです。 例えば6月は、7月24日に行われる”EASTコンサート”の曲目を決定させる時期でした。現在、コンサートにおける選曲や構成の会議では、奈保子の希望やアイディアを中心としてくりひろげられているため、合宿前はじっくりと案を練っていた奈保子。そのために一睡もしない日もあったとか・・・。 「今日は夜遅いから明日にしよう・・・なんて考えていると、どんどん日が伸びていって、レコーディング中に考えなければならなくなってしまう。それでは合宿の意味がなくなってしまいますよね。だからできる限り東京にいるときに、他のことをやるようにしました」 これほどまでの徹底した意気込みが、素晴らしい音を生み出してくれたのでした。 さて、では合宿中のエピソードをご紹介しましょう。 起床は前の晩のレコーディングによって変わりましたが、スタジオ入りは正午なので、奈保子は午前中に譜面を見ながらレッスン。そしてそのまま本番へ突入し、一応午後の6時にUP。1時間ほどの夕食の後、休憩をしたら今後は8時から再開。終了するのは平均して12時だったということです。 ところで6月に行われた合宿は観音崎で、スタジオから海が一望できるステキなリゾート地。だから普通なら機材ばかりで無味乾燥なスタジオも、実に優雅なムードが漂っていました。 このような環境なので、奈保子も録音中はTシャツに短パンというリゾートファッション。だけど表情には常にピリッとした緊張感も漂っていました。 こうして完成された奈保子全作曲のアルバムは、10月21日に発売される予定です。タイトルは仮で「スカーレット」とつけられましたが、これはもしかしたら変わる可能性もあり。 とにかく本当にいい曲ばかりで、時間を忘れるほどのめり込んでしまいます。発売になったら、ぜひ御愛聴くださいね。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 【売野雅勇さんからのメッセージ:(今回のレコードをプロデュース)】 今回のアルバムテーマを「スカーレット」にしたのは、いろいろと意味あってのことなんです。 奈保子さんの特徴を考えた時に、女性が本来持っている”優しさ” ”素直さ” ”やわらかさ” が浮かんだんです。そこでそういった女性を表現していく・・・ということがまず第一にあって・・・。また、彼女は自分の中から湧き上がるものを表現するにおいては天下一品で、日本のトップアイドルの位置にある人ですよね。アイドルを越えた部分っていうのもすごくありますし・・・。 それで彼女の人柄や存在感などを総合的に見たときに、いちばんフィットしているイメージは”スカーレット”だったわけです。 この”スカーレット”には2つの意味があって、ひとつはスカーレット色、つまり緋色(ひいろ)。もうひとつは『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラによるもの。スカーレット・オハラって、女性のひとつの形だと思うんです。自由で愛情が深くて、とてもチャーミングで。 ただ、ファンのみなさんは、奈保子さんに緋色というより、パステルタッチのイメージをお持ちかもしれません。確かに彼女は人間的にやさしくて、ひとつ遠慮しちゃうみたいなとこもある・・・。淡い感じの女性ですよね。でもそういう人にも、胸の中には真っ赤に燃えた緋色が絶対あると思うんです。夢を見たり、あるいは恋をしたり、前向きな明日に向かって生きようとする命の輝きみたいなものが・・・。これは本来彼女が持っているものなんです。 それを初めて今回、ソングライターとしてアーティスティックに出したわけです。 アイドルから出発して、このアルバムでひとつの答えが出るとおもいます。それはもちろん、よりよい形でね・・・。 ーーーーーーーーーーーーーー 【作詞家 吉元由美さんからのメッセージ:(今回のレコードの作詞を担当)】 今回奈保子ちゃんの作った曲に詞をつけさせていただいたんですが、すべて曲が先で詞を後でつけるという作業でした。 最初テープで曲を聴いたとき、やっぱり好きなだけあって、バラードは相当完成度の高いものだと思いました。また奈保子ちゃんは職業作家じゃないから、非常に素直な感覚で自分の歌いたい曲を作ったように思います。それはテープの中に熱く込められていて、そういう意味ですごい生身なデモテープという感じがしました。 また、レコーディング中も彼女の音楽に対する真剣な姿勢が垣間見えて、私もそういうものに近づきたいなってすごく思うようになりましたし。 歌は10曲あって、詞の中に10人のまったく性格の違う女の子を表現したんです。情熱とか衝動などが、色々な形になって詞にでているというか・・・。曲ごとにいろいろなストーリーがあって、10人の奈保子ちゃんがいるっている感じでした。 彼女のひたむきさや思い入れがスタッフの私たちに伝わったように、アルバムを聴くみなさんにも、それはしっかりと感じてもらえると思います。 ーーーーーーーーーーーーーー ↓ プロデューサーの売野雅勇さん、作詞家の吉元由美さん、そして中央は河合奈保子さん。 ![]() ↓ 海が一望できるスタジオは、澄んだ空気に包まれていました。 ![]() ![]() ↓ 注意すべきポイントをチェックして・・・。 ![]() ![]() ↓ 小池ディレクターとの打ち合わせも、熱いムードが漂います。 ![]() ![]() ![]() ↓ ピアノを自己レッスン。「生ピの音ってすごく落ち着きます」。 ![]() ![]() ↓ スタジオから見えるプール。ここで泳ぐことは一度もなかったとか。 ![]() ↓ 観音崎スタジオの一室。休憩タイムに奈保子はここでレッスンをしてました。 ![]() ↓ 「奈保子しんぶん Vol.37 /昭和61年(1986年)7月発行/芸映プロダクション・芸映友の会・河合奈保子FC編集部」 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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