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日本顎関節症リハビリ研究室 /より安定した快適咬合を求めて

日本顎関節症リハビリ研究室 /より安定した快適咬合を求めて

スプリントは 上か下か 

スプリントは 上か下か   イヤイヤ  実は 困った 
 
良い機会だから 少し書きます.

ある患者さんは 顎関節症の治療の スプリントを 
  見た目にきれいに作ってくださいという希望の方もいました..
かなりガクッと来ました.まあ仕方ありませんね 

私の顎関節症の治療の スプリントは スポーツに使うマウスピースやマウスガードと 間違っています.
歯ぎしり防止用の装置アプライアンスとも違います.どちらも 長く使うので きれいに作ります.

しかし 顎関節症のスプリントは ちょっと違います.
顎関節症のスプリントは,スプリントで症状が落ち着くと 
<第一段階スプリント治療>
外すために 歯を修正するたびに改造して壊していく装置なのです.
<第二段階のスプリントを外しても安定している治療>

私の顎関節症のスプリントは,咬み合わせを修正し 力を分散し,筋肉と関節の症状を軽減させるのが 目的です.
来院する患者さんのの持参するスプリントは, この目的通りに働いてくれるスプリントは 良く言って10-20%ぐらいです. 持参頂くスプリントの80-90%は 調整不足です.私の基準からすると不合格です.
つくり ほとんどが 不合格です.

スプリントの検査
 できるだけ 薄いこと.
 カチカチし 速く小さく弱く 咬んだとき 左右均等に 多数の接触点があること
 カチカチと接触する点が フラットか へこんでいること 斜面で接触していないこと
 横に 歯ぎしりしたとき 糸切り歯(犬歯付近) で接触し 滑らかであること  動きを制限しないこと
 時間をおいても アゴの体操をしても カチカチと接触する点が あまり変化しないこと
  
現実には スプリントが 5ミリ以上あり 厚すぎます.付けると 締めつけられたり 異物感が強いのです. 
持参頂くスプリントが 安定せず 効果がないスプリントを持参する患者さんが,かなりいます.
理由は, 患者さんのクセが強く顎が不安定でもあり,また 医師の技量不足もあります.

つぎに 第一段階のスプリントで 効果か出て 良くなってきたが
スプリントを外すと 症状がひどく,次の治療は してもらえない.
 一部 高い歯を 少し削っただけととのことです.削ったらひどくなった.
  まだ安定していないのに 来なくて良いと言われた.
 また 薄いスプリントが破折して なんども怒られて行きたくないとのこと.
仙台のまたは 関東の大学病院や病院で スプリント治療をうけてから来る方もいます.残念です.

スプリントを外しても 症状が軽減して安定させる 咬み合わせのリハビリ治療である
接着を使った ダイレクト・スプリントである  第二段階は,
スプリントを外しても症状が起こりにくいように,低い部位に接着剤でプラスチックを足すしての 咬み合わせ修正治療は
そのたびに スプリントを少しづつ 一部を 壊していきます.そうしないと 入りません.
 スプリントは 薄くて 安定感があれば良いのです. そして 修正しやすい材料です.
 歯を修正しては,スプリントを一部壊し修正し,スプリントを無くしていきます.
 
スプリントは 二段階目の治療を行うならば,
きれいというのではなく,修正が容易なように また薄く作ります.上でも下でも良いのです.
より安定するように 長く入れられるように その目的が優先します.
落ち着きが良くなく不安定な人か  簡単に落ち着く人かで どうするか
まるで お料理人が 一人一人に合わせた味付けを考えるようなものです. 患者さんの感じるレベル以上のことを検査していきます.
異物感が少ないように 入れてられるように 薄く   壊れにくく ????
薄くて 壊れにくいのは 本当に 矛盾していますが  トホホホホです
 
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下のスプリントの利点と欠点
スプリントは,母校の東北大学歯学部病院 では下顎が多いです.
下顎は,発音障害が起こりにくいのですが,前歯が当てにくく,顎の不安定の程度がひどいときや,不安定な二重咬合の咬合不安定症候群の時は,安定感が得られにくいです.
また,スプリントで 治療が終了し,その後の スプリントを外す 二段階のリハビリ咬合治療にて
スプリントを外し 下の奥歯 を  修正していく時 リハビリ治療では,治療しにくです.
口の中で作るのは 難しいです.
上顎前突や前歯が接触しないタイプでは,なかなか 接触点をふやせず 安定させるのに治療回数と時間がかかります.
上では発音障害のひどい患者さんや 24時間入れる必要な患者さんにのみ 使いたいです.
また スプリント治療だけで スプリントを外す第二段階の治療に進まない患者さんに用いています.

上のスプリントの利点と欠点
上顎に付けるタイプは,調整は 下より楽です.歯を多数接触させやすいです.
診察当日に 口の中で 15分ぐらいで 製作もできます. また修正が簡単です.
アメリカやヨーロッパは 上が中心です.しかし ここが大切です.
症状は 軽減しやすいが 異物感があり 発音障害が起こしやすい,  
24時間入れてられません.異物感があります. 
治療しやすく安定感が得られやすいのですが,24時間入れなくてもよい程度の軽い患者さんか
発音障害を我慢して頂き,二重咬合や咬合不安定症候群の重度の患者さんに仕方なく用いています.

 どちらも 利点と欠点が 裏表にあり,患者さんを診察しないと 決められません.
 ハッキリ言うと 利点と欠点が裏表です.
また 薄いと違和感が少ないが 壊れやすい. 
壊れにくくつくると 厚く異物感がある.
きれいに作ると 時間がかかり 修正しにくい.
修正しやすく作ると 希望通りの きれいには出来ない.

実は 上下ていうレベルは たいした 問題ではなく,
スプリント治療の内容が現実の問題点が 
かなりあります.
それは 下記の 点です.
 
スプリントの問題
1> スプリントの製作のときの厚さ   できれば 自分の歯に近い 薄いスプリントで安定させて効果を出したい.  二段階の治療を考えると厚く作りたくない. 欠点は,穴が開くほど薄いと破折しやすい. 厚いと違和感が強い.
 医師の製作上の問題です

2> スプリントの調整方法と テクニック 
  患者さんと医師の問題点です  
 患者さんが 顎関節変形症や咬合不安定症候群や二重咬合の時は  医師の調整が大変です

また
患者さんの問題
3> 患者さんの診察にもよりますが,関節の変形が進行していて,関節に がたつきがあり,
 真っ直ぐに口が開かず かなり 曲がって 大きくずれて 開け閉めせざるを得ない状態のとき
 寝ているだけで 口が開かなくなる患者さん
 口を 長く開けているだけで 脱臼して 閉じなくなってしまう患者さん

4> 歯が 歯列がでこぼこだったり,歯が倒れていたり,歯の本数が 少なかったりして
 スプリントだけでは 歯を接触させるのに限界の時

歯科医師の技量の問題
5> 患者さんの不安定な咬み合わせの状態を 把握して
どのようにして,どのくらいの回数で,咬み合わせを安定させるかという,医師の技量や技術,経験と考え方の差が大きな問題です.そのため診察しないと 分かりません. 大学病院でも うまい教授もいれば, 術連していない方もいます.
 若手のうまい方もいます.大きな病院かではなく,いかなる経験と技量を持ち合わせているかです.
苦しんできて 乗り越えてきたかです.私にとって 80%は 簡単な患者さんです.10%は 関節が変形して難しいです.
また10%は 患者さんと意見が合いません.患者さんが 顎関節症を 甘く見て,また先入観が強く,私や専門医の言うことを聞きません.

患者さんは,審美的なことを中心にお考えで,下に作って欲しいとお考えの時は,治療は 難しいです.
患者さんの希望通りにしますと,スプリントを外す治療は かなり 遅くゆっくりとなり なかなか進みません.
スプリントだけの 第一段階の治療ならば よいのですが.
多くの医院や病院で行われているスプリントだけの治療で
スプリントを外す二段階に進まないときは,患者さんの希望に  それなりに 出来ますが......

ハッキリ言います 
患者さんの希望通は お聞きしますが,すべて希望の通りには治療は致してません.

また 保険制度では スプリントは  原則 一個しか作れません.この点も ご理解して頂きたい.
保険治療のスプリントを製作し,スプリントのみの治療が 現段階の保険治療のレベルです.
もし そのレベルの治療を ご希望ならば 私のところでなくても出来ます.

私の治療のメインは,スプリントを いかに速く安定させて,
スプリントを外しても 歯を削らずに,安定させるかという 二段階のリハビリ治療を重視しています. 
 高度先進医療の治療です.
診察時に 説明します.
時に 数個 小さいミニ・スプリントを 上や下につくり, 大きなスプリントを外しても 安定するようなリハビリを試みています.ご希望の方には,保険診療だけではない 高度先進医療を導入しています.
 
ハッキリ言いまして 大変失礼ですが,上か 下かの 議論は したくありません.
患者さんの希望通りには出来ません.
スプリント治療のみを ご希望ならば 私のところでなくても出来ます.

上でも 下でも,スプリントを いかに 速く 安定させて,ミニ・スプリントもいろいろと 駆使して いかにして スプリントを外しても安定させるかというリハビリ治療を 目指しています.

診察無しで 上か下か は ご希望の通りには 治療出来ません.

内科のように 検査で病名が付くと 薬を処方すれば良いというのではなく
今取れた お魚を また ラーメンを 患者さんの状態を考えて
どのようにおいしく 味付けするかというお料理人の職人と お考えください.
30年近く 顎関節症を専門に治療してきました.私 専門の職人です.
良くご理解して頂いて  診察に来てください.





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