カテゴリ:コミックス
父の実家で祖母との同居を始めた、東(あずま)家。
中学生で自閉症の光、小学生の花音、母・幸子、父・雅人。 孫の障害をなかなか受け入れられない祖母でしたが、 ダンス仲間に誘われ有名作家の家を訪ねた際 その作家も障害があると知り、 徐々に光を理解しようと努めるのでした。 そして、将来に目を向け始めた光の元同級生達は・・・。 今月の新刊。ついに最終巻を迎えました。 と言っても作者・戸部さんの死による無念の完結。 描きたいこと、読者に伝えたいことがまだまだたくさんあったことでしょう。 中学校編第25~30話と、別のお話を2本収録。 27・28話は闘病中の一時帰宅時に仕上げ、死後雑誌に掲載されたもの。 そして、29・30話は絵の入っていないネームの状態。 それは決して上手にまとめられたものではありませんでした。 中学受験に失敗し、道を踏み外しそうになった絵理ちゃん。 跡継ぎを弟に譲り、外国暮らしをしている東家父のお姉さん。 彼女達のエピソードはなんだか無理に軌道修正したような・・・ 悪く言えばそんなに上手く進むわけないと思う部分を残した仕上がりでした。 逆に言えば、それだけ戸部先生に残された時間が少なかったということ。 もっともっと話を広げたかったんだと思います。 もっともっと色々な問題の解決法をキャラ達とともに探りたかったと思います。 でも、残念なことに時間がなかった。 だからこそ、たとえ多少無理があろうとも みんなが幸せに向けて歩き出したんだよと、 優しい展望と未来を示してくださったような・・・そんな気がします。 庭に水をまく光くんの姿に、目を細めるおばあちゃん。 「ああやって水をまいてる姿は他の子と何も変わらないわね」 障害があってもなくても、こどもはこども。みんな同じ宝物です。 障害があるとどうしても目につきやすい部分ってあるけれど、 数え切れないほどある個性のひとつだと考えてしまえば だ~れもどこも変わっちゃいないんですよ。 (ウチは障害のあるお兄ちゃんも下の子とまるっきり同じに扱っちゃってて、 東家のお母さんにビックリされちゃうかな? おひさまハウスに集まる方達に叱られちゃうかな?なんて思ったり・苦笑) これから先、愚痴を言いつつもおばあちゃんも良い味方に なってくれることでしょう。やはり家族の力って大きいですよね。 光くんは周囲にも恵まれました。 中学は別々になってもいつまでも彼を覚えていてくれる信明くん達。 幸子さんを温かく迎えてくれる、そのお母さん達。 おひさまハウスの方々に、学校の先生、クラスメートetc。 たくさんの出会いと別れを繰り返しながら、 きっと光くんは「元気に働く大人」になっていくのでしょう。 そこまで見守れなかったのは本当に残念ですが、 我が家の光くん・・・いえいえ中学生の息子とのこれからを 悪戦苦闘しつつ楽しんでいきたいと思います。 (昨日もね、特別支援学級の友達とケンカしたって担任が家まで来たのよ。 悪いのは最近授業を真面目に受けないウチの子なんだけどね。 クラスメートにしてみりゃ一人だけ遊んでる子がいたら そりゃ面白くないでしょうよ。来年は高校受験だってのに・・・はぁ~) 同時収録は、卒業を間近に控え担任の産休や変更に振り回される6年生と 産休補助で1年間見守ってきた先生とのお話「さんきゅう先生!」と、 一人暮らしの老人と人懐っこい少年の交流を描いた「春のまなざし」。 「さんきゅう先生!」、これに登場する校長先生がめっちゃイヤ(#--) それに引き換え、ウチの娘の小学校は前任・現在とも最高の校長だよな。 「春のまなざし」、泣けます。すぐるクン、いい子~。 そうそう、第一印象で損してる子っていっぱいいるよね。 何度も接しているうちにどんどん評価の上がる子。 この2作品も含めて、とてもあたたかな1冊となっている最終巻。 が、もう一つ残念なことが。 本の中で戸部先生がお亡くなりになったことにあまり触れられていないんですよ。 ネームの前に「病床で」、巻末オマケ中に「天国から戸部さんの声が」、 あとは作品解説中に解説者さんからのお悔やみの言葉があるだけ。 編集部から一切説明がないんです。 ご遺族の方々の意向とかあるかもしれません。 でもコミックス派の読者さんの中には亡くなったことすら 知らない人もいるかもしれませんし、一言も無しってのは寂しいですよね。 せめて、雑誌でお知らせくださったことだけでも ちょこっと載せておいてくれたらなぁ。 最後に、 素晴らしい作品を残してくださった戸部先生のご冥福を心よりお祈りいたします。 もっともっと読みたかったよ・・・。 光とともに・・・~自閉症児を抱えて~ 著者:戸部けいこ 秋田書店 フォアミセスコミックス 15巻は2010年6月発行
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[コミックス] カテゴリの最新記事
とうとう最終巻発売されたんですね。
嬉しいような、もっと書いてほしかったような・・・。 大きくなってから、出てくる問題事とかも見たかったです。 (2010/06/10 03:55:53 PM)
陸抗さん
>とうとう最終巻発売されたんですね。 はい、出ました。また次回荷物に入れておきますね。 >大きくなってから、出てくる問題事とかも見たかったです。 まだまだこれからの方が問題が多いと思うんですよね。 しかも、その問題の程度が大きくなってくる! きっともっと掘り下げて描きたかったことと思うと、とても残念です(T_T) (2010/06/11 04:54:04 PM)
もっと見たかったなぁ・・・。大ファンだったのに・・・
しかも実話なんですよね・・・ 泣けちゃいますよ・・・ 52歳と知ってびっくりしました。 病気だったンですよね~・・・ 治ってまた書いてほしかったです・・・。 ~天国にいる戸部けいこさんへ~ 私はいつまでもあなたの大ファンです・・・。 あなたが天国にいったとしても・・・ 私はいつも、 あなたの・・・そばに・・・。 さようなら・・・。 (2010/10/08 06:03:01 PM)
美来♪さん
いらっしゃいませ♪コメントありがとうございます。 >もっと見たかったなぁ・・・。大ファンだったのに・・・ まだまだ続いて欲しいお話でしたね。本当に残念です。 >しかも実話なんですよね・・・ 「光とともに」は実話ではありませんよ? 戸部さんが取材等で出会った自閉症のお子さん達をモデルにしてはいますが、 ただ一人・ひと家族の「光くん」や「東家」はいないはずです。 >52歳と知ってびっくりしました。 >病気だったンですよね~・・・ まだお若いですよね。闘病中もネーム書き残してらして、 未完となってしまったのはさぞかし無念だろうと思います(T_T) (2010/10/08 06:23:23 PM)
私は、学校の図書館で光とともにを1~14巻まで全て読みました。そして15巻が出るのを楽しみにしていました。
絶対買ってもらいます。 (2010/11/28 12:03:48 PM)
モモンガさん
>私は、学校の図書館で光とともにを1~14巻まで全て読みました。 学校の図書館!素敵な環境ですね^ ^ ウチの娘の学校や近所の図書館には無いのですが、 小さい子から大人までたくさんの人に読んで欲しい、 学校・図書館等でも是非置いて欲しい作品だと思います。 (2010/11/30 03:50:50 PM)
1から最後まで読みました。なぜか涙がとまりませんでした。東家の幸子さんやさしくて忍耐づよく常に笑顔をたやさず前向きに光君をそだてていく姿はすばらしく理想の母と感じました。
途中で終わるような形ですが私が今まで読んだ本の中ではダントツの一位です。 できれば作品として誰かが引き継ぎ大人になるまで続けて欲しいです。 ここで終わるのは悲しすぎます! (2013/08/24 03:23:20 AM) |
|