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カテゴリ:小説の参考資料
資料集めに手間取り、かなりの時間がかかってしまいましたが『小説の参考資料』三回目の始まりです。三回目にして、最初にして最高といえるハウトゥ本の紹介をする事になりました。私は、こういった小説の書き方に関する本はあまり読まないため、こういった資料を公開する事はまれだと思います。
今回、この本を参考資料として公開するべきかどうか、2つの理由で悩みました。 1つは、著者の文体です。受け取り方によっては乱暴な文章とも取れるため、資料として最適かどうかと悩んだのです。 もう1つの理由は、あまりにも参考になりすぎるからです。参考資料としての完成度が高いため、これは公開せずに独り占めしておきたいと考えました。ですが、このブログを読んでくださる方の中にも、いずれプロの小説家として作品を書きたいと思っている方がいるみたいなので最適な参考資料を1つ紹介しておくべきだろうと考えを改めました。 本当に、独り占めしたくなる良い資料なのです。 ◆簡単な紹介◆ 今回、紹介する資料は大塚英志著、アスキー新書の『キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」』です。最近(今年の4月ごろ)出た本であり値段も手ごろなので、入手は容易だと思います。各章の最後に、理論を元に実際にキャラクターを「つくる」作業(これをワークショップと呼びます)があるため、このワークショップをやるだけでもよし、単純に理論を学ぶだけでもよし、と参考資料として最適に一品です。 ワークショップをやるために8面ダイスが必要になる事があるので、それを用意しておくとよいでしょう。 ここでの本は、著者が実際に大学で教えている授業を元に作られているため、間違いなく作品作りの役に立つでしょう。一部、難しくて理解しにくい言葉が出てきますが(著者はあとがきにて「高校生でも充分、ついてこられる内容だと思う」としていますが、専門用語が出てくるため、一読しただけでは理解できない可能性もあります)理解できる部分から吸収していくといいでしょう。 ◆キャラクターを「つくる」とは?◆ 著者は、キャラクターを様々な記号の順列組み合わせに過ぎないと言っています。この考えは、非情に理にかなっています。 例えば、このブログでよく使われる「キャラクターなんとか機」はあらかじめ用意されたパーツを組み合わせて自分のイメージする外見のキャラクターを作り上げるフリーソフトです。こういったパーツの組み合わせで大抵のキャラクターが再現できてしまいます。 このフリーソフトだけで再現できるのは外見だけだと言われてしまうかもしれませんが、内面的なものもすでに作られた人格のパーツからの組み合わせに過ぎません。そこに組み合わせの工夫が見られる程度のバリエーションでしょう。 パーツの組み合わせについて説明してある章の最後にあるワークショップでは、パーツを8面ダイスで選んでキャラクターを作るという作業をします。驚くべき事に、同じパーツでも解釈によって作られるキャラクターが違うのです。 本に書かれている事を参考に考えると、同じパーツの組み合わせでキャラクターを作っても書き手の解釈などが加わって、書き手の個性が現れ違うキャラクターになる、という事だと考えています。 ◆主人公の差別化と周囲の登場人物◆ 主人公を考える時、どういったキャラクターにするでしょうか?また、主人公の周囲の登場人物は? キャラクターをメインにした小説が多い昨今では、こういった事を考えるのも一苦労ではないでしょうか?きちんとキャラクターを考えれば勝手にキャラクターが動いてくれるとはよく言われる言葉ですが、勝手にキャラクターが動くためにはそれ相応の役割を与えなければなりません。 まず、主人公の差別化ですが、本書によると主人公は何かが欠如していてそれが均衡に向かう(つまり、欠けた部分を埋める)ようにすると物語が作りやすいと書かれています。主人公とは大抵、外面的なものでも内面的なものであったとしても、何かが欠けているか何か余分なものがついているなどの特徴づけがされていなければならないのです。その特徴が物語全体を動かす(全てのキャラクターが勝手に動くための)動力源となります。 次に、周囲の登場人物について。 慣れていない人ですと、どうしても出したいからこのキャラクターを出す、このキャラクターの書きたいシーンを書くために出すといった、物語全体を見ずに一部のシーンだけを見て考えてしまいがちかもしれません。ですが、周囲の登場人物は物語を書く上で、きちんと役割が決っていてその役割に乗っ取った存在になっていなければなりません。 本書では、主人公を旅立たせるための周囲の登場人物の立ち位置について書かれています。主人公が旅立つ場合、自分から旅立つよりは周囲に何か頼まれて旅立つ方が作品が作りやすいのです。主人公を旅立たせるために、様々な意味を込めた登場人物を出さなければなりません。 この辺りは単純化して書くのが難しいため、何とかして本を入手して下さい。 ◆最後に:何故キャラクターを「つくる」本を紹介したか?◆ 私も小説を書く人間であるせいか、小説を書く事を趣味にしている、もしくはマンガを書く事を趣味にしているという方のブログなどをよく見かけます。ただ、そういう人達の多くがキャラクターを「つくる」事を理解していないのではないか、と思う事が多々あるのです。 どうかこの文章を読んでいる方で、いずれプロでデビューしようと考えている方は(たとえ、明確なビジョンを描いていなくても)この本を買ってキャラクターを「つくる」とは何なのか、一度じっくり勉強するべきでしょう。単に登場人物の作り方を学ぶだけでなく、物語全体を「つくる」ための資料として使えます。 何故、キャラクターが重要なのか、それを一度考えてみて下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jun 19, 2008 12:48:03 AM
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