元祖・ネギの舞台裏

2008/07/28(月)03:50

DM小説について:DM小説における色々な共通点

小説の書き方(36)

記事のアイディアを練っていたら、少々時間がかかってしまいました。DM小説についてのコラム、三回目です。以前もおもしろいDM小説についての共通点に関する記事は書いたのですが、今回はより深く共通点について見ていこうと思います。 ◆キャラ萌えの要素◆ 完成度が高く、おもしろいDM小説は主に、キャラ萌えの要素が含まれています。キャラ萌えというと、萌え要素をふんだんに取り入れたキャラクターを出せばいいのかといえばそうではなく(どうも、ネットで調べてみるとキャラ萌えと萌えキャラが混在しているようで困ります)キャラクターとして完成していて魅力があるという事です。 旧小説板で長い間自分の作品を書いている方の登場人物は、きちんとしたキャラ付けがされていて、誰が見ても見間違える事がなく、しっかりとした方向性が見えています。キャラクターは作家のオリジナリティを見せやすいところなのかもしれません。 当り前ですが、今はネットで小説の発表も簡単にできる時代です。クォリティは関係ありません。その中で、また見てもらいたいと思うためにはインパクトがあり、記憶に残るキャラクターを作る事が重要になってきます。 ◆キャラクターのグラデーション◆ 私がブログを始めた頃に、「『東京』では、物語を進めるほどメインのキャラクターの性格が複雑になっていく」という記事を書いた事がありました。それについて当時は、「キャラクターが勝手に動く」という言葉で片付けてしまいましたが、今考えるとこれはそんな単純なものではありません。 私は小説を書く時に、キャラクターについて考える時間が一番多いです。その中で多くの情報を作っていって、小説を書いている時に自分でも忘れていたような要素をどんどん思い出していきます。キャラクターに多面性という名のグラデーションがかかっているため、より深く複雑な人格に見えていくのだと思いました。 単調ではなく、複雑。色々な要素が見せられるキャラクターを書くと、物語にも深みが増すかもしれません。 ◆『敵』を書けるか◆ この記事を見ている方の中でも、様々な物語に出てくる敵キャラクターの中で、お気に入りのキャラクターがいないという人は一人もいないと思います。敵とは、その立ち位置のせいで間違いなく主人公側のキャラクターに倒されてしまう存在ですが、それでも人気のキャラクターが出てくるものです。 ここまで言えばもう判ると思いますが、おもしろいDM小説の共通点に素敵な敵キャラクターというものが存在します。敵にもドラマがあり、人格があります。敵であっても主人公側のキャラクター以上に人気が出てくるキャラクターだっているでしょう。敵もしっかり書いてあるDM小説は、色々な場面での主人公とのやり取りを見ていて楽しいです。 ◆では、おもしろくないDM小説の共通点とは◆ 今までのは全ておもしろい小説の共通点です。『キャラクター』に関するものばかりでしたが、これでキャラクターを描く事がいかに重要な事か理解していただければ幸いです。 では、逆におもしろくないDM小説の共通点とはどういったものなのでしょうか? ◆小説のルールに反している◆ 二年ほど前、とある出版社に行って聞いた話ですが、小説のルールに反した小説を書いてしまう人が存在するようです(幸い、私は大丈夫だと言われました)。このルール違反はDM小説に限らず、ネットで小説を書いている方の中でも見かける事があります。具体的にどんなルール違反があるのか見てみましょう。 ・地の文が安定しない これは、よく見られるルール違反です。具体的に言うと三人称(作者の視点)になったり一人称(主人公、もしくは登場人物の誰か)になったりするものです。 これは書いていて書き手が混乱してしまったのかもしれません。ただ、どういう小説を書きたいのかしっかりとしたビジョンを持っていれば回避できる問題です。書く前に一人称と三人称、どちらに統一するのか決めておきましょう。 場面ごとに一人称と三人称を変えたり、一人称ではあるけれど場面ごとに語り手が変る、と言った手法は控えた方がいいでしょう。読んでいて思うのですが、判りにくくくて読んでいてストレスが溜まります。そういった手法で書くと判るのは書き手くらいのものなので、地の文はきっちりと統一する事をお勧めします。 ・セリフの前に人物名を入れる このブログでも『ネギ博士の独りよがりコラム』シリーズで使っているのと同じ様式です。コラムでは、判りやすさ優先のためにセリフの前に人物名を入れていますが、小説ではNGです。とあるブログで、その書き方をした方が色々な小説書きの方にその部分を叩かれていました(尤も、その方の場合、相手のブログを読まずに定型句で自分のブログの宣伝をしていたせいで、「宣伝していくな」という怒りを買ったのかもしれませんが)。 セリフの前に人物名を入れると、確かに判りやすくなりますが、ルール違反です。人物名を書かなくても、誰のセリフなのかセリフを見ただけで判るようにしましょう。 ◆読み手を置いてけぼりにするな◆ 私がよく語る事なのですが、「小説は読み手が存在しなければ小説ではない」と思っております。当り前の事ですが、読み手の事を一切考えずに小説を書く事はないでしょう。読んで欲しいと思うのならば、読み手の事を考えて書くのはごく普通の事です。 しかし、実際にふたを開けてみると書き手がただ書きたい事を書いて並べただけ、という小説が大量に存在するのも事実です。そういう事がないように、二つのアドバイスをここに記します。 ・小説を書いている自分に酔うな 小説を書く事はすごい事ではありません。書いた時の達成感は書き手だけのものですが、読み手にとって書き手の苦労は関係のない事です。書き手は、少なくともDM小説家はエンターテイナーです。小説を書いたからすごい、のではなく、読み手を楽しませたからすごいのだ、という事を理解しましょう。 ・読み手を楽しませろ どんな小説でも当り前の事ですが、読み手を楽しませる事は小説の必須条件です(ホラー小説など、用途が異なるものもあるかもしれませんが)。どうやって読み手を楽しませるか、それを考える楽しみこそがDM小説を書く上での楽しみだと言えるでしょう。 ◆最後に◆ おもしろくないDM小説の共通点は、DM小説だけでなく小説全体に言える事です。いかに読み手を楽しませるか、それがDM小説にとって重要な事柄なのです。もし、あなたが遊園地を作る事になったら、どうやって客を楽しませるか考えるでしょう。それと同じ事なのです。 私が旧小説板で最初に読み手に対して発したのは「どういう小説を読みたいか、リクエストはありますか」というニュアンスの言葉です。この言葉がどういう意味を持っているか、ここまで読んでくださった方ならすぐに判りますね。 次回は、『デュエルの書き方』について書いてみましょう。これについて知りたかった方もいらっしゃると思います。DM小説において重要なシーンであるデュエル。それをうまく書くにはどうしたらいいのか、次のコラムで考察してみましょう。

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