アグネス号
町田の実家には茶色のダックスフントが一頭いる。名前はアグネス。アギーと呼ばれている。アギーはこの家で産まれた5匹のうちの一匹だ。一番小心者で、私が劇団SCOTにいた頃、たまに家に帰ると玄関まで迎えに出て来てはひっくり返ってオシッコをもらした。うれしいのとちょっと恐いのと、という事らしい。今はすっかりおばあさん犬になって、だいぶ落ち着いた。ひっくり返って「降参」のポーズをする事も無くなったし、その上オシッコをしながらしっぽをふる、なんてことは無くなった。顔にもだいぶ白髪が生えて、動きもゆっくりだ。若い頃はよく、散歩の途中などで会うと違う道に別れようとする所で「ギャワワンビャワオウン!アオウン!」と物凄い声でさんざん鳴かれた。これも無くなった。座敷犬から庭犬になり、年もとって、やたらに人に期待しなくなったか。老人力、いや、老犬力…というにはまだ可愛い。アギーが小さかった頃は私も若かったし、よく頭にくると「赤犬は美味しいんだよ~」といっていじめた。今は反省しています。あ、ダックスフントのスタンダードです。ミニチュアではありません。