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ねこちのきまぐれ

ねこちのきまぐれ

着物のお手入れ



  ★お召しになる前の準備★

着用の2~3日前に、タンスからだして、湿気の少ない場所で衣紋掛けにかけて点検をしてください。余計な折りじわは取り、きものは直接、畳の上に置かないようにしましょう。

  ★脱いだきものと帯などのお手入れ★

【1,手を洗ってから敷物の上で脱ぐ】
まずは手を洗ってからきものを脱ぎましょう。一見きれいでも、手は意外に汚れています。そして、直接床の上ではなく、きもの用の敷き紙や清潔な風呂敷などを敷き、その上で脱ぐようにします。

【2,ハンガーにかけて陰干しする】
きものと長襦袢は別々にハンガーに掛けて、数時間から半日程度陰干しして、湿気を抜きます。帯は脱いですぐ、温もりがまだあるうちにたたくようにしてシワをのばし、重なる部分を少なくして、裏側を表にして干します。同時にシミや汚れがないかも調べ、もし見つけたら糸で印をつけ、早めに専門店にケアを頼みます。きものや帯を干すのは、直射日光の当たらない、風通しのよい部屋で。できれば部屋の照明も消しておきます。

【3,ほこりを払ってからたたんでしまう】
湿気が抜けたら、敷き物の上にきものを広げ、乾いた柔らかいタオルやガーゼ、化粧用の新品のパフ、ビロードの小布団、きもの用のブラシなどで、肩、裾、袖山など、ほこりや汚れのつきやすいところを軽くたたくようにして、ほこりを取り除きます。決してこすらずに、特に刺繍や金属箔の部分は傷つけないように注意します。

【4,帯揚げ・帯〆】
帯揚げもきものと同様に、しばらく干して湿気を抜いてからしまいます。目立つシワがついていたら、二つ折りにしてから、端からくるくるとシワを伸ばしながら巻いてしまいます。次に使うときにはシワは伸びています。
帯〆はよれを直して伸ばし、結ばずに、四つ折り程度にしてしまいます。房を紙で巻いておくと、乱れやすい房もきれいに保てます。

【5,長襦袢と半衿】
長襦袢は湿気が抜けたら、半衿を外してからたたんでしまいます。半衿・長襦袢ともに洗える化繊素材の場合は、つけたまま洗濯してもかまいません。
絹や刺繍の半衿は取り扱いには注意し、ベンジンなど染み抜き用の溶剤で手入れをします。汚れが少ないようなら長襦袢につけたまま、ベンジンで手入れをしてもう一度くらい着てもかまいません。

【6,足袋・肌襦袢・裾よけ】
肌に直接触れるものなので、着るたびに洗濯します。足袋の足底が汚れているようなら、歯ブラシに洗剤を付けてこすり洗いを。洗濯機の場合は、ネットに入れて弱水流で洗います。

【7,紐・伊達締めなど】
着付けに使う紐類、伊達締め、帯板、帯枕なども、しばらく干して湿気を抜いてからしまいます。腰紐は端から五角形に折ると、かさばらずシワを残さず片付きます。

【8,ぞうり・下駄】
脱いだ後は底の湿気を取るために陰干しします。柔らかな布でほこりを払い、汚れをふき取ります。下駄も乾いた布でほこりを払います。収納は風通しのよい場所へ。
体温や湿気を取り除く為に風通しの良い室内に2~3時間ほど掛けててあげましょう。
また絹はデリケートな布で、表地、胴裏、八掛とそれぞれ水分の吸収率が異なります。(長時間掛けておいたり、洋服用のハンガーは型崩れのもとです。)もし、雨が降っていたら、その日は干さずに、濡れたところにタオルを挟んでたたみ晴れた日の正午前後2時間ぐらい陰干ししましょう。


  ★着物を湿気トラブルから守る虫干しの知恵★

桐タンスににしまってあるから大丈夫と思ったら大間違いです。直射日光からは守られますが、湿気はじわじわと忍び寄ってきますので正しい湿気対策「虫干し」が大切です。
礼装の着物や特定の季節にしか着ることができない着物などは、タンスの中にしまったままの方が多いようですが、現代の住宅事情を見ると、窓はアルミサッシで部屋にはエアコン。留守がちな家では窓が閉めっぱなしで風が通らず、エアコンを使用すれば排出されたガスが部屋じゅうに充満してしまいます。人体には影響のないガスですが、着物には大変な悪影響があります。このため中の着物にカビ、湿気による縮みが出てきてしまうので年に二度の虫干しが必要なのです。
「空気が乾燥している季節」「晴天が三日以上続く日」に虫干しは行います。昔は入梅時の湿気を乾かす為に7~8月頃に虫干しは行われていました。しかし、暖かさによって眠っていた虫が目をさまし、着物の汚れ(目に見えないほどの食べかすなど)に卵を産み付けます。孵った幼虫が餌として汚れを食べる際に着物に傷をつけてしまうのです。現代では10~3月に行われています。三日のうち初日は虫干しを行う部屋の空気を入れ替えてください。
次の日の午前十時から午後二時頃まで、部屋の電気を消して太陽光線が入らないようにし、窓を開け着物に風をあててください。必ずしも着物をつるさなければならない、ということはありません。タンスから出して風呂敷を広げるだけでも効果はあります。またタンス自体の空気の入れ替えもしてください。
ただ、実際はあまり大げさに考えずに、時間があるときに着物を眺め、空気に触れさせ呼吸させることが虫干しだと思っていただければ、それほど負担にはならないでしょう。


  ★絹の着物に防虫剤は「害」になる?★

衣類を食べる虫はそのほとんどがウールを食べるので、ウールの衣類には防虫剤が欠かせません。絹の場合直接食べる虫はいませんが、食べこぼしのシミなどをそのままにしておくと、成虫(蛾)がこのシミの付近に卵を生みます。孵化してくる子供(幼虫)がすぐに食べ物にありつけるようにという「母心」から、本能的に餌になるシミや汚れの所に産卵しようとするからです。
ですから、湿気の多い時期に出しっぱなしにしたり、シミをつけたまま何度も着るなどしない限り、蛾が着物に卵を産みつけるチャンスはほとんどありません。実際は虫よりも防虫剤そのもののほうが着物へ害を成すのです。
防虫剤は単独でも金、銀やスパンコール等を変色させたり、箔の接着剤を溶かしたりします。さらに、防虫剤の併用は化学反応を引き起こし、箔などの変色を一層激しく進行させてしまいます。
黄色くなったイチョウの葉を集めて、綺麗に洗い、2~3日天日に干して乾燥させ、ガーゼか糊抜きした晒しの袋に入れます。これをタンスの中に幾つもいれてください。
それでも防虫剤を使用したいという方は、タンスの一番上の引き出しに、着物にあたらないように四隅に一個づつ置くだけで充分です。入れ過ぎても虫にはあまり効果はなく、着物に強い臭いがついてしまい、着物に風を当てても完全に臭いをとることはできません。こうならないためにも、防虫剤の使用方法を誤らず、虫干しの行事を忘れずに行うことが大切です。


  ★保管の5つのポイント★

1)一番いけないのは「しまいっぱなし」、時々チェックして湿気を飛ばす事。
しまったままにするのがトラブルの原因。虫干しや着たりするなどしてマメに見ていれば、トラブルも悪化の前に気がつきます。

2)ウール、ゴム類、粗製の紙は絹ものとは別に保管を。
ウールのきもの、ショールや腰紐、着付け用のゴムベルトなどは、変色や虫食いを避けるためにも、絹のきものとは別に保管します。

3)防虫剤は使用方法を守って数種類を併用しない。
防虫剤を間違って使用すると、変色や接着事故などにつながることも。きものに向いた製剤を選び、2種類以上を混ぜて使わないように。

4)しばらく着ないものは汚れを落としてから収納を
小さな汚れでも時間が立つと広がったり、虫食いの原因になることも。当分着ないものや、季節の終わったものは手入れしてから収納を。

5)きものも「日焼け」するのでどんな光もできるだけ避ける。
きものを干すときはなるべく光に当たらないように注意を。自然光・人口灯ともに色あせ防止のため、干す時間は最小限にします。


 ★きもののクリーニングについて★

クリーニングや汚れ落としは、極力専門家に任せましょう。

1) ケアの内容で使い分け
仕立てあがりの形のままで全体を洗うのが「丸洗い(生洗い、京洗い)」。解いて布の状態にしてから水を通して洗うのが「洗い張り」。シミなどの汚れを部分的に落とすのが「シミ抜き」です。汚れに応じてお手入れを使い分けましょう。きものを毎日のように着るようでなければ、頻繁にクリーニングに出す必要はありません。普段はベンジンで衿や袖口の汚れを拭いたり、部分汚れはシミ抜きに出して、全体的に薄汚れてきたと思ったときや、数年に一度程度で丸洗いをします。
頻繁に着て汚れが目立ち、生地がくたびれたときや、古いきものを仕立て直しをするときは、洗い張りに出します。仕立て直し代などの費用もかかりますが、生地もしっかりして見違えるようにきれいになります。

2) 丸洗いは縮みません
「洗う」と聞くと水を使っての洗濯をイメージするかもしれませんが、「丸洗い」は、石油系の有機溶剤を使ったクリーニング。水を全く使わないので、きものが縮むことはありません。水に弱い絹でも安心して洗えます。
 
*セルフドライが流行中!?
きもののクリーニングに、セルフサービスのドライクリーニング店を利用する人がいます。「安価にきものが洗える」と、特に若い人の間で口コミで広まっている様子です。乱暴かと思いますが、実は「丸洗い」もドライクリーニングも、石油系の有機溶剤を使ってのクリーニングなのです。ただし、色落ちしたり縮むことがないとはいえないので、実施は自己責任で。高価なきものは専門店への依頼をおすすめします。


  ★きものの丸洗いの工程★

1)汚れなどの状態をチェック
洗う前に調べて、衿、袖口、裾などについたばかりの汚れが見つかったら、手作業で汚れ落としをします。

2)本洗い・すすぎ
きもの専用の丸洗い機と溶剤を使い、きものを痛めないように洗います。生地の間からの塵やほこりもきれいに落ちます。当社の丸洗いでは石油系の高級溶剤を使用し、水をまったく使わないので、きものが縮むトラブルは発生しません。

3)乾燥
きものに負担をかけない低温真空の状態で約30分乾燥。その後乾燥室で約2時間以上乾燥させて、溶剤の臭いを飛ばします。

4)仕上げ
特殊「湯のし」仕上げで、元の風合いに近い状態に仕上げて出来上がりです。


  ★ 家庭でできるお手入れ★

自分でできる手入れはなるべく自分で、という方に、家庭でできるお手入れのコツを ご紹介します。コツを押さえると決して難しくありません。

1) 自然な汚れはベンジンで
  衿や袖口、裾などの汚れは、化粧品、汗、体から出た脂、ほこりなどが混じったも
  の。薄汚れてきたら、ベンジンでお手入れを。衿や半衿のファンデーションの汚れ
  も、早めのケアならベンジンで落とせます。シミ抜き用のベンジンは、リグロイン
  など揮発性の高い上質なものを使いましょう。風通しのよい、火の気のないところ
  で行います。時間がたって何の汚れかわからないものは、専門店に依頼を。
2) 家庭で洗濯できるもの
  正絹の半衿や裾よけなども、白や淡い色のものなら、絹用の洗剤で家庭で洗っても
  よいでしょう。ただし、ちりめん地や、晴れ着用のもの、刺繍の多いものは避ける
  のが無難。
  基本的に、絹のきものと袷のきものは、家庭で洗えないと考えてください。木綿や
  麻、ウール、化繊のひとえなら、自分で洗っても大丈夫。化繊の袷は商品によって
  違うので、商品の指示に従ってください。

*家庭で洗えるきものの洗濯
ゆかた、麻や木綿(ひとえ)のきもの、合繊のきものの洗い方です。
・まずはたたんだきものを水に浸けて押し洗い。2~3回繰り返して、汚れた水を捨てます。汚れがひどくなければ、洗剤を使わずに水洗いだけでも汗は落ちます。

・そうでない場合は、薄い洗剤液につけて押し洗いします。食べ物のシミなどは、中性洗剤や石けんをつけて、やさしくもみ洗いします。洗剤を使った場合は、たっぷりの水で2~3回替えてよくすすぎます。

・風呂板などの上において水を切り、裏返して直射日光の当たらない場所に干します。水がしたたり落ちても大丈夫です。

・糊をつける場合は、衿元に薄く糊をいれた霧吹きを吹きます。
注)麻の場合は、さらに敷きのしをしてシワを伸ばします。

3) 衿、袖口、裾などの汚れ落とし
1 汚れた部分の裏側にきれいなタオルを置き、ベンジンをたっぷり含ませたガーゼ
 で、たたいて汚れを浮かすようにしてぼかします。このとき生地を痛めないよう
 にこすらないこと。ベンジンを部分的につけると輪ジミになるので、全体に行き
 渡るようにたっぷりと含ませるのがコツ。
2 数回ガーゼを替えて叩き、下のタオルも徐々にずらして、汚れを下のタオルに移しとります。
3通気性の良い場所に干して手早く乾かします。
注)汚れが目立ってきた帯〆も、ベンジンを含ませたガーゼで軽く拭きます。


●補足1● 敷きのしの方法

ゆかたや麻のきものを、アイロンを使わずにシワを伸ばす方法で、昔からの知恵です。
1)生乾きのままたたみ、平らな場所に敷きのし用のゴザや、清潔な紙や布を広げます。
2)シワを伸ばしながらきものを本だたみにし、丈を二つ折りにします。
3)再びゴザや布・紙をかぶせてはさみ、その上に平らなアイロン台や本などを重しとして
 乗せます。
4)小一時間たったら、きもの用ハンガーにかけて乾かします。

●補足2● アイロンをかける場合

シワをとるためにアイロンをかけるときは、次のポイントに気をつけてかけましょう。
1) 晒などの糊気のない白い布を当て、上からこするのではなく、押さえるようにササッと
手早く当てます。
2)素材にもよりますが、高い温度では避け、中温~低温で。


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