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ケルトの夢

ケルトの夢

プルートで朝食を






すてきな作品でした。
ガーリッシュな趣きなのだけど、内容は思いのほか社会派でした。

70年代のポップスに乗せて、お伽話風に語るパトリック”キトゥン”の物語。

アイルランドに生まれたパトリックは、教会の前に捨てられた赤ん坊だった。
明るくいつも笑っている彼は、きれいな服やお化粧やアクセサリーが大好きな、乙女チックな男の子に。

やがて、村一番の美人で、「ロンドンに呑み込まれていった」母を追い求めて、ロンドンに。

時はIRAのテロが吹き荒れ、イングランドとの間に緊張の高まる70年代。
”キトゥン”自身も、幼なじみたちも、いや応なく巻き込まれていく血と暴力の中で、彼の優美なものを愛する生き方が、切なくも力強く希望を感じさせる。


『麦の穂をゆらす風』で激動のIRA戦士を好演したキリアン・マーフィーが、時代が下りて、キュートな女装の男の子に!
もうびっくりな変身ぶりで、しなやかでほっそりした体つきなので、全く違和感ないですね。

『麦の穂…』ではもっとガッチリに見えるのに。

やっぱり彼は、骨格が魅力的な、きれいな顔をしています。
真っ青な瞳も大きなチャームポイントですしね。

冒頭、着飾った”キトゥン”が幸せそうにベビーカーを散歩させていて、そこまでに至るお話なのだけど、愛らしい2羽のコマドリのおしゃべりで物語が始まります。

”キトゥン”自身も、母のことを物語風に捉えて語る。
じゃないと、現実は悲しすぎるから。

母への思慕を縦糸に、幼なじみとの絆を横糸に、ユーモラスに紡がれる”キトゥン”の物語は、シリアスな現実なんだけど、観終わった後ホッコリと嬉しくなりますよ。

セリフもなかなかおしゃれで気に入りました。



表題のプルートは、文字通り冥王星。ロンドンの伝説なストリート・ミュージシャンの楽曲からとられているのだそうです。

これは、『シンドラーのリスト』『キング・オブ・ヘブン』のリーアム・ニーソンなど、キャストがなかなかの布陣なのだけど、母親役のエヴァ・バーシッスルが今後注目の予感。

監督は『ことの終わり』『ダブリン上等!』のニール・ジョーダン。


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