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猫まっし!なクロノス記

猫まっし!なクロノス記

門出 -4-

門出 -4-

当時、俺は相当怒っていたらしい。
今でも、この初陣の時の話になると、「さすがの桧をも黙らせた一喝」として話題の中心になるほどだ。
まぁ、俺は普段はあまり感情を激することがないから、余計に桧はびっくりしたんだろうけどな。



俺が声を荒げた事で、棒(ぼう)も桧も大人しくなった。
あ・・・。さすがに妹達相手に荒げすぎたか・・・。
こほんと咳払いを一つして、続きを促す。

「えと。で、俺の格好が?何?」


そうすると、落ち着きを取り戻した棒(ぼう)が、ため息と共に問い返してきた。

「あのね、兄さん・・・。その格好自分では何とも思ってないの?」

「はぁ???」

「ウォリアーっていかにも冒険者って感じで、格好良くて憧れてたんだけどなぁ・・・。」


だから。
何がなにやらさっぱりわからないぞ・・・。


「あんたのね、腰から下の装備が気にくわないんだって。」

姉貴が言いにくそうに続ける。

「その・・・えとぉ、ズボンというか・・・短パンというか・・・えー。」

「ブルマでしょ!しっかも、ぴっちぴちのっ!!」

桧が叫んだ。

「男の人のお尻がぷりぷりなの見て、楽しいと思う女の人はあまり居ないと思う・・・。」

続けて棒(ぼう)が静かに批判する。


返す言葉なんてなかった。
いや、返そうにもあまりの脱力感に、言葉を捻り出す気にもなれなかったってのが正しいか。


「姉貴・・・・・・。」

「・・・うん?」

「確か気を失っても5つレベル上がるまでは、ペナルティーってのが免除されるんだったよな?」

昨日、姉貴から教えてもらったことを再確認する。

「うん、そうだけど・・・。でも危なくなったらヒルポを・・・って、ちょっと!!」


姉貴がいろいろ言ってるのを綺麗さっぱり無視して南門から飛び出し、手身近のクルークの群に飛び込む。
最初は城の桟橋から離れないように戦い、体力が少なくなってきたら城に入って回復。
これが冒険初期の巧い戦いかただと、姉貴には教えてもらったけど。

回復するのをちんたら待ってられるか!!
城まで後退する時間、回復待ちの時間を考えたら、体力が無くなって気を失うまで戦い続けて、ゲートからまた走り出した方が効率がいい。

一刻も早くレベルを上げて、何が何でも鉄鎧を着れるようになってやるさっ!!

こうして、俺の冒険者としての輝かしき初陣は、ぽかんと口を開けて見守る姉貴達の目の前を通り、ゲートと南門を頻繁に往復する事となった。





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