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メモ用紙

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呼吸器 慢性呼吸不全

慢性呼吸不全 

1、慢性呼吸不全とは?
  医学的定義:呼吸不全が一ヶ月以上続いた状態。
        呼吸不全とは?→呼吸機能障害のため室内気吸入時の動脈圧酸素分圧
        (PaO2)が60Torr(トール)以下となりその為に生体が正常な機能を営むことができない状態。(Torr=mmHg)
  動脈圧酸素分圧の値により3種類に分類。
Ⅰ型呼吸不全 PaO2<45Torr
Ⅱ型呼吸不全 45Torr≦PaO2≦60Torr
準呼吸不全 61Torr≦PaO2≦70Torr
2、呼吸不全をきたす基礎疾患
  現在慢性呼吸不全で在宅酸素患者は約10万人。
  主な病気は 慢性閉塞性肺疾患39% 肺結核後遺症18% 間質性肺炎12%
        肺がん12% あとはその他。
  *閉塞性肺疾患;COPD(肺気腫・慢性気管支炎) 最大の危険因子~喫煙

3、症状と身体所見
  
慢性呼吸不全 主症状 身体所見
低酸素血症 呼吸困難 頻呼吸、頻脈、チアノーゼ
高炭酸ガス血症 頭痛、振戦 縮瞳、うっ血乳頭、意識障害

4、呼吸困難の重症度
Ⅰ度(正常) 同年齢の健常者と同様に仕事ができ歩行や会談の昇降も健常者なみにできる
Ⅱ度(軽度呼吸困難) 平地は同年齢の健常者と同様に歩行できるが、坂や階段は健常者並みには昇れない
Ⅲ度(中等度呼吸困難) 平地さえ健常者なみに歩けないが、自分のペースなら1km以上歩ける
Ⅳ度(高度呼吸困難) 休みながらでなければ50m以上歩けない
Ⅴ度(重度呼吸困難) 会話や着物の着脱にも息切れする
5、治療と予後
 ☆呼吸管理 〈急性期〉:低酸素血症、高炭酸ガス血症、アシドーシスに対して酸素投与、
            人工呼吸管理、気管切開など
       〈慢性期〉:在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、酸素輸送機能改善のため循環動態の管理、貧血の改善が行われる
 


☆合併症・増悪因子に対して
       肺炎、気胸、心不全などの合併症や増悪因子に対して抗菌薬、気管支拡張薬、
       副腎皮質ステロイド薬の投与、胸腔ドレーン挿入、異物除去などがおこなわれる。
☆基礎疾患に対して
       基礎疾患の進行阻止と対症療法のために、薬物療法、呼吸リハビリテーション、栄養管理などが行われる。
☆予後
      在宅酸素療法によって慢性呼吸不全の予後は改善され、延命効果がある

6、在宅酸素療法の対象疾患と、保険適応基準
 1)高度慢性呼吸不全例 
*PaO2≦55Torrまたは、PaO2≦60Torrで、睡眠時または運動時に著しい低酸素血症をきたす場合で、医師が在宅酸素療法を認めたもの
*酸素吸入以外に有効と考えられる治療(抗生物質、副腎皮質ステロイド薬、気管支拡張薬、利尿薬など)が、積極的に行われており、少なくとも一ヶ月以上の観察期間を経て、安定期にあること
*適応患者の判定に、1994年4月よりパルスオキシメーターによる酸素飽和度から求めた動脈酸素分圧を用いても良いとされた
2〉肺高血圧症
3〉チアノーゼ型先天性心疾患
 
7、特に活用できそうな知識
 【慢性呼吸不全の急性増悪】
 POINT
 ①慢性呼吸不全は、COPD、結核後遺症、神経筋疾患など慢性不可逆性の疾患による血液ガス異常や肺性心に対し、生体がかろうじてバランスを保っている状態といえる。
 ②急性増悪とは、呼吸器感染症、過労などの右心負荷、続発性気胸、睡眠薬、不適切なO2吸入、源疾患の急性進展などにより、このバランスに破綻を生じ、生命の危機、呼吸困難、意識レベルの低下などを中心とした急激な症状の悪化をきたす状態をいう。
 ③治療の目的は、誘因の除去などにより、再び元の微妙なバランス状態を取り戻すことにつきる
 ④慢性呼吸不全においては、低酸素血症が呼吸の刺激因子となっている。このため高濃度の酸素投与は換気刺激を消失させ、PaO2を上昇させるので注意が必要。
 ⑤生体にとって低酸素血症による障害は高炭酸ガス血症による障害より致死的である。
  低酸素血症は心不全、腎不全、消化管出血など他臓器の障害を引きおこし、悪循環を形成する危険があるので、酸素投与を必要以上に躊躇することなく早期に低酸素血症を改善することが大切である。
 →微妙な酸素投与が大切ってコトですね。おねえ
治療(急性呼吸不全と比較し、特に注意すべき点について)
 ①誘因の解明と対策
  1、気道、肺感染症の合併が増悪の誘因として最も重要。痰の培養を行い、結果が出るまでとりあえず、肺炎球菌、インフルエンザ菌を対象に抗生物質の投与を行う。
  2、浮腫、頚動脈の怒張、頻脈、肝腫大、心陰影の拡大などが認められるときは、右心不全の関与を考慮。必要に応じ、利尿薬、キサンチン製剤、ジギタリス、血管拡張剤などを投与する。
  3、続発性気胸はその可能性を念頭におけば、胸部X線により診断は容易。緊急の脱気、ドレナージを行う。
②酸素療法
 1、PaO2=55~60mmHg、SaO2=85%以上を目標に酸素を投与する。
 2、肺繊維症、間質性肺炎などの急性増悪は、重篤な低酸素血症と、過換気による
PaCO2の低下を特徴とするので、むしろ高濃度酸素療法を行う。
  ③非侵襲的気道確保
   1、去痰剤:ビソルボン・ムコソルバンなど
   2、気管支拡張剤(β2刺激剤):メプチン、ベネトリンなど
   3、キサンチン誘導体:アミノフィリン、テオドールなど
   4、呼吸促進剤:ドプラム(400mg/200ml)
     0.5~2mg/kg/hrで使用する。血圧上昇、精神症状の誘発、気管支攣縮などの副作用があるため、PH>7.30 BE>0mEq/l PaCO2<90mmHg
     意識レベル<2-30などの前提条件を満たす例に限り使用し、血液ガスを頻回にチエックし、数時間後に有用性を判定する。
   5、少量のステロイド(末梢気道の粘膜浮腫の軽減?)
   6、気道内分泌物粘稠度低下を目的とした水分補給 
   7、IPPB(間欠的陽圧換気法)を併用するネブライゼーション
   8、体位ドレナージ、胸壁タッピングなどの理学的療法
  ④人工換気
   適応~酸素投与にも関わらず、PaO2<50Torr
      PaCO2>70Torr 意識障害(+) または去痰不能
      PH<7.20 呼吸数>40回/分
      意識レベルの低下による嚥下反射・咳反射の消失

次は看護。(観察点。)


続く。。


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