中之島公園の猫たち-SAVE THE CATS IN NAKANOSHIMA PARK-

2008/11/18(火)07:14

前略、中之島タエさま

里親さん決定!(36)

[卒業記念] ブログ村キーワード あなたに初めて会ったのは、少し薄暗くなった公園、 すでに風は冷たく、冬の始まりの頃でした 人影のない寂しい公園で、寒そうに仲間たちと寄り添いながら… あなたは、公園事務所のおじさんたちが運んでくれるご飯を待っていましたね。 「あの2匹は親子なんですよ」 あなたの側には、とても良く似た面立ちの大きくて丸い目のキジ猫 あなたたち親子のことを前から知っていた人が教えてくれました。 あの日、初めて見たあなたはとても堂々としていて… そして立派なお母さんでした 次にあなたに会ったのは、とても寒くて凍えそうな雨がシトシト降っていた夜でした あなたは、とても怒っていましたね ずっと過ごしていた広い公園から、外も見えない小さな部屋の中に閉じ込められて… あなたにとって、あまりにも突然のこと、まったく考えてもみなかったことだったでしょう 大切な息子の側から離れず、誰かが近づくと怒ってばかりいたあなたを見て… あなたに与えてしまった衝撃の大きさを知りました。 私はとても悲しくて、本当に申し訳ない気持ちになりました。 しばらくして、あなたは小さな部屋の中の生活にも慣れましたね。 近づいても怒ることはなくなり、逃げることもなくなりました。 アゴの下の白い毛で、いつも笑っているように見える優しく穏やかな顔つき 話しかけるといつも、大きくて丸い目をジッとこちらに向けて、 あなたは何か言いたげに見つめ返してきました。 雪がチラチラと降る寒い冬から、美しい桜の花が開く頃までの間、 毎日、毎日どこからか連れて来られる自分の仲間たちを見て、 あなたは何を感じ、何を思っていたでしょう…。 あの頃、いくつもの不思議な出来事があなたのまわりで起こりました ケージから逃げ出してしまった仲間を、公園事務所のおじさんが追いかけていた時、 あなたはおじさんの足に登りつき、爪を立てましたよね 「まるで逃げている仲間を助けようとしたみたいでした」 まだ新しい環境に慣れなくて、頻繁に起こっていた仲間同士の小さないざこざ あなたはいつもいちばんに走っていって、一瞬でもめごとを収めていました。 「彼女が行くと、不思議とみんな大人しくなってケンカが終わるんです」 そんな不思議な力を持つあなたのことを、公園事務所のおじさんは尊敬の意味を込めてこう呼びました。 「猫の部屋」のゴッドマザー あなたのお陰で仲間たちにはまとまりが出来て、いつしか小さないざこざも起こることがなくなりました。 「立派な風紀委員さんだもんね」 そう言って話しかけると、いつもあなたは優しい丸い目をこちらに向けて、キョトンとしたお顔で笑っていました。 季節が初夏を迎えようとしていた頃… あなたの大切な息子は、幸せに卒業を迎えました いつも一緒だった可愛い息子タロ タロが卒業してからのあなたは少し寂し気で、とても心細そうな顔をしていましたね。 「タロはね、すごく優しいママとパパのお家で幸せに暮らしてるんだよ」 「今はね、てんちゃんって名前になってて、ママからのメールには”我が家の王子様です”って書いてあったんだよ」 あなたを撫でながら、幸せになっているタロのことを聞かせている時、 いつも耳をピンと立てて、大きな丸い目で私を見ながら、一生懸命に話を聞いていました。 「心配しなくていいよ、大切なタロは幸せになったからね」 そう言って喉を撫でると、あなたは目を細めて、撫でている手にスリスリしてくれましたよね。 私には、それがとても嬉しそうな顔に見えました。 あなたにとって、とても大切なかけがえのないタロが幸せになっていること、 それがちゃんと伝わっているんだと感じました 暑い夏が終わりに近づいた頃、 小さな可愛い仲間がやって来ました。 あなたと同じきれいなキジ猫、子猫のターちゃんでした 「ターちゃんをケージに入れた時から、ずっとケージの上に座って、まるで見張りをしているようでしたよ」 あなたは久しぶりの小さな猫を見て、いったい何を感じていたのでしょう…。 ターちゃんのケージの上にいる姿、その顔を見て、私は、タロと一緒に過ごしていた時のあなたの顔を思い出しましたよ。 それは強くて立派なお母さんの顔でした。 私にとって、その光景はとても感動的なものでした。 あなたの姿がとても神々しく見えました そろそろ秋らしい風が吹くようになり、 あなたと一緒に過ごすようになって、10ヶ月目を迎えようとしていた頃、 ある方からメールをいただきました 「2ヶ月ほど前、中之島の猫ちゃんたちのことを知りました。 実は、もうすぐ引っ越しする予定で入居審査待ちなのですが…」 その方は不動産屋さんに申し込みをして、すぐにメールを送ってくださいました。 そして… そのメールには、あなたに会いたいと書かれていました 里親さん希望のMさん。 引っ越し先もペット可のところを探し、近くに動物病院があることも確認した上で、お家を決めたのだと言っておられました。 とても温かい思いやりの気持ちがあふれたメールを何通もいただいて… 早くあなたに会ってもらいたいと思うようになりました。お引っ越しも無事に済んで、少し落ち着いた頃、Mさんはたくさんのおやつを抱えて、あなたに会いに来てくださいました そして… 「どうかタエちゃんでよろしくお願いします」 Mさんからお返事が来た時、 とても嬉しくて幸せな気持ちと、少しだけ寂しい気持ちを感じました。 あなたと一緒に過ごした優しい時間、たくさんの思い出が胸をよぎりました。 「きっとMさんとなら、同じ歩幅で一緒に歩いていけるよ」 「きっと穏やかで温かい幸せな毎日を過ごせるよ」 卒業を控えたあなたとも、いろいろ話をしましたね。 あなたは、いつもと同じ穏やかな顔で私の話を聞いてくれました。 あなたには伝わっていたでしょうか…。 あの時、いつもと同じあなたを撫でながら… 私は、心の中でずっとお礼を言っていました。 そして先週、 とても穏やかな良く晴れた日に、あなたは卒業を迎えました 運び屋Tさんの車に積まれたお嫁入り道具… 関西動物友の会のWさんからいただいた、可愛い猫の切り絵がついた箱 あなたがこれから暮らす京都をイメージして、Wさんが作ってくださったものです そして、もうひとつ… しんのすけ&大和の母ちゃんさんからいただいた可愛い首輪 中之島公園の猫たち全員お揃いの勲章、幸せへの切符 あなたをイメージして選んだ赤い首輪は、本当の意味で幸せへの切符になりましたね。 あなたと最初に会った時から約1年… 抱えきれないほどの思い出を残してくれました。 あなたの凛々しさに、いつも支えられていました。 そして、たくさんの大切なことを教えてもらいました。 本当にありがとう 私は、そしてみんなも、絶対に忘れることはないでしょう。 そして、これからは… あなたのことが大好きで、ずっと一緒にいたいと思ってくださったMさんと一緒に… ゆっくりと歩いていってください たくさんの幸せな時間を過ごしてください あなたの幸せな旅立ちを心から祝福しています 「タエちゃん、卒業おめでとう」                                                                                                                                          第一秘書より  追記 タエちゃんが到着してから、届いたMさんのメールには… 「可愛い首輪や手作りの箱までもらって感激です 慣れたら首輪と…爪切りを頑張りますね」 そう書かれていました    「中之島公園の猫たち」nekomat@nifmail.jp *************************************** タエちゃんとMさんの幸せな未来を祈って… ポチっと祝福していただければ嬉しいです

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